中井学税理士:借用書がなくても、銀行履歴の不自然な出金や当事者の供述で貸付金と認定できます。修正申告となれば、本税に加えて延滞税や過少申告加算税(※1)、悪質なら重加算税(※2)が発生します。重い納税を避けるためには、やはり遺産分割協議の段階で解決を目指すことが重要です。

「何気ない一言」が致命傷に…税務署が《申告漏れ》を見つける、意外な方法とは?中井学(なかい・まなぶ)/中井学税理士事務所(大阪府枚方市)代表。税理士、公認会計士。大手監査法人を経て現在は暁監査法人統括代表社員も務める。 主に上場企業等の監査業務、各種コンサルティング業務を経験した後、中小企業向けの会計・税務・経営・相続など幅広い分野の助言・指導を行っている。

 令和6事務年度国税庁実績評価書によると、相続税の申告には約87%という高い割合で税理士が関与しているとされます。貸付金や名義預金など不明瞭な点がある場合は、税理士に相談しながら慎重に申告へ臨むことが重要です。書面添付制度を利用すれば調査リスクの低減にもつながります。

 相続税は一度申告したら終わりではありません。税務署は申告漏れがないか、厳しくチェックしています。家族の一言が火種になる前に、相続は兄弟姉妹間で感情がもつれやすくトラブルになることが少なくありませんが、丁寧に協議し、しこりのない相続税申告を目指しましょう。

(※1)過少申告加算税とは、期限内申告を行っているものの、その納税額に不足があることが判明した際に課税されるもの。調査により申告漏れが見つかった場合は追加本税の10%が課税となるが、追加本税が期限内申告税額と50万円のどちらか多い方の金額を超える場合は、その超過部分について15%が課税となる。税務調査の事前通知前に自主的に修正申告した場合は原則として課されない。

(※2)重加算税とは、相続財産を意図的に隠すなど悪質なケースに課されるもの。納付すべき税額に対して35%、無申告の場合には納付すべき税額に対して40%の税率で課される。

※プライバシー保護のため、登場人物に関する情報の一部を変更しています。

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