ビジョンと感情の狭間で揺れるリーダー
リーダーの重要な役割の一つは、長期的に目指す姿、すなわち「ビジョン」を示し、その実現に向けて組織を導くことです。しかし、ビジョンに向かって進む過程において、リーダー自身が短期的な損得や感情に引きずられ、気づけば本来目指すべき方向とは異なる判断を下してしまうことがあります。
劉備も本来であれば、蜀と呉の同盟によって魏を打倒し、最終的に漢王朝を再興するというビジョンに向け、「天下三分の計」を推進していたはずでした。しかし、呉の背信による関羽の死をきっかけに、呉との対立へと大きく舵を切ってしまったのです。
義兄弟であった関羽の死に対する劉備の強い憤りは十分に理解できます。しかし、その感情の爆発によって、漢王朝再興という本来の大義が遠のいてしまったのもまた事実です。
ビジョン実現に不可欠な「3つの資質」
このような厳しい局面において、短期的な損得や感情に流されず、冷静さを保つことは、リーダーに求められる非常に重要な資質の一つです。劉備も、関羽を失った無念を抱えつつも、呉との決定的な決裂を避けていれば、敗北を回避し、その後の蜀の歴史を大きく変えていた可能性があります。
では、リーダーが短期的な損得や感情に過度に引きずられることなく、ビジョンに向けて進み続けるためには、一体何が必要なのでしょうか。私は、「視座」「規律」「対話」の3つが重要だと考えています。
●視座:目先の成功や自己実現にとらわれるのではなく、長期的なビジョン実現を見据えて判断すること。
●規律:本能や一時的な感情に任せて動くのではなく、常に理性的に判断すること。
●対話:自身の意思決定がビジョンに反していないか、周囲の意見をしっかりと踏まえて判断すること。
●規律:本能や一時的な感情に任せて動くのではなく、常に理性的に判断すること。
●対話:自身の意思決定がビジョンに反していないか、周囲の意見をしっかりと踏まえて判断すること。
リーダーがこの「視座・規律・対話」を意識して意思決定を行うことで、短期的な損得や感情に振り回されることなく、ビジョンに向けて着実に前進し続けることができるのです。
※本稿は『リーダーは世界史に学べ』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。















