【法廷で笑っていた少年加害者】息子を殺された父が刑務所に通い続けた理由写真はイメージです Photo:PIXTA

2009年、大阪で15歳の少年が殺害された。法廷で謝罪の意志があるかと問われた17歳の加害少年は、笑みを浮かべたという。その姿は、息子を奪われた父の胸に深く刻まれた。裁判が終わったあとも、父は刑務所に通い続けた。復讐でも赦しでもない、その行動の意味とは何か。※本稿は、ノンフィクションライターの藤井誠二『「殺された側」から「殺した側」へ、こころを伝えるということ』(光文社)の一部を抜粋・編集したものです。

加害少年は少年を
バットでめった打ちに…

 犯罪被害者側が抱えてきたもどかしさの一つに、刑務官や保護観察官など、加害者の矯正や更生保護に関わる人たちに、犯罪の態様や被害者の苦しみが十分に伝わっていないという点が挙げられる。

 犯罪者の教育や更生に携わる人間は、加害者がどのような人物で、どのような罪を犯したのかを十分に認識すべきだ、という遺族の訴えは以前から存在し、そのために活動を続けてきた被害者遺族がいる。

 大阪府河内長野市に住む大久保巌(60歳)は、16年前、次男(当時15歳)を当時17歳の少年に殺害された。

 事件が起きたのは2009年6月。加害者の少年は被害者のガールフレンドに手を出そうとしたが手厳しく拒否されたため、被害者をだまして呼び出し、バットで頭部などをめった打ちにして殺害し、川に放り込んだ。

 加害少年は刑事裁判の法廷で、謝罪の気持ちを問われた場面で笑うなどの態度をとった。反省の色が被害者遺族に伝わることは最後までまったくなかったが、加害少年には、当時の少年法に則って、懲役5年以上10年以下の不定期刑が言い渡された。