劇中歌に初音ミクのボカロ曲
海外のファンも引きつける
子どもから大人まで馴染み深い(そして何度も二次創作されている)昔話を下敷きにしたストーリーも趣深いが、作品が高評価を受けている大きな理由は、歌唱シーンやアクションシーンの素晴らしさである。
140分という長編の中盤で、アクションシーンがある。仮想空間の中でいろはたちがバトルゲームをするのだが、これが迫力がある。また、成り行きでライバー(配信者)となったかぐややヤチヨが、ライブパフォーマンスをするシーンでは、アニメーションの滑らかさと色彩の美しさが際立つ。これらをスマホ画面ではなく、劇場の大画面で見たいという気持ちはわかるものがある。
また劇中歌には、初音ミクの代表的なボカロ曲「ワールドイズマイン」や「メルト」が流れる。30代、40代が聞いて懐かしいのと同時に、海外でもファンダムが多い。
レビューの中にはミュージカルを見ているようだったという感想もあった。歌うシーンがそれなりに多いのである。ミュージカルはストーリーに多少の難があったとしても、歌や踊りのエモさでオールOKと思わされてしまうことがある。
『超かぐや姫!』も、「東大受験を目指す夏に音楽プロデュースもバイトも引っ越しもこなす主人公がさすがにハイスペ過ぎる」とか「バイトで生計を立てるつましい生活の高校生が割高なエナジードリンクを飲みまくっていて心配になる」とか、いくらでもツッコミはできるのだが、そんなことはまあいいかと思えるほど、アニメーションが作り込まれている。
ストーリーで特筆すべきなのは「百合」要素だろう。百合とは、女性同士の恋愛もしくはそれに近い親密な関係のことを指す。女性同士のイチャイチャは、オタク界隈で男性からも女性からも支持を集めやすい。
『超かぐや姫!』の中では男女の恋愛はほぼ描かれていないと言っていい。一方で、主人公のいろはとかぐやの間には物語が進行するにつれて、のっぴきならないムードが漂っていく。筆者は二人が花火に出かけるシーンでのあるセリフに少したじろいだ。物語を貫くのもふたりの絆である。







