つまり、サトコさんはよくないことだと知りながら、まんまと遅刻を続けてしまいそうなのです。なんとかそのような事態を避けるべきだと、上司は頭を抱えました。遅刻をすべきではないことは、これまでも口を酸っぱくして伝えてきました。伝えた直後には遅刻は減るのですが、それは短期的な効果で、続かなかったのです。

 上司は、どのようにしてサトコさんをマネジメントすべきか悩みました。今でさえうまくマネジメントできていないのに、出向先という離れた場所でどうしたらいいのでしょう。

 上司はサトコさんと話し合いました。サトコさんも同様に、マネジメントしてもらえないことで、今よりもさらにずるずると遅刻しそうだと心配していました。

 そこで、毎朝出社したらタイムカード代わりに、時計の写真を撮影して送ることを約束してもらったのです。シンプルな方法でしたが、サトコさんはホッとしました。どこまでも怠けそうな自分をよく知っていたからです。この作戦はとてもうまくいきました。毎朝ギリギリでも職場に滑り込んで写真を撮ることがスパイスとなったようです。

遅刻癖を治すためには
多少の嘘も必要悪

 しかし、別の越えるべきハードルが目の前に現れました。サトコさんが出向するその2カ月間のうちに、本社の取締役が出席する会議に参加することになりました。会議は、出向先から少し離れた別のビルで行われる予定です。上司としては、どうしてもその会議だけには遅れてもらっては困ると考えました。

 上司は苦肉の策として、その会議に遅刻しないための芝居を打つことにしました。サトコさんに、こう伝えたのです。「本社から取締役が出席する会議が、10月10日の13時から開かれるらしい」。

 本当の開始時刻は13:30でした。しかし、サトコさんの遅刻癖や、他の職員は少し早く到着して準備を進めるだろうと予測して、30分早めに伝えたのです。

 この作戦は功を奏しました。サトコさんは案の定、13:10に会場に到着してしまいました。汗だくで息を切らして到着したところ、他の社員があたたかく迎え入れてくれて、一緒に会議の準備を進めることができたのです。