大谷は笑いながら日本語で応答した。

「君がいい打者だから。僕はそうしないといけないからだよ」

 それでも、ドジャースは大谷の投手起用について慎重な姿勢を貫いた。

 7月5日の対アストロズ戦で再び2イニング限定の先発登板を繰り返したあとに、3イニング限定の登板を2度――対ジャイアンツ戦とツインズ戦――続けることになった。

「リハビリの進展については、とにかく一歩ずつ進めていくことが大切なんです」

 大谷は自らの進捗についてそう訴えた。

「もちろん、日によっては調子がいいからもう1イニングいけそうだというときもありますが、そういうときこそ不要なリスクを避けて、日々確実に少しずつ前進していくことが大切なんです。リハビリの進捗に関しては、前からずっとそうでした。ですから、僕としてはチームの方針に従うだけです」

投手と打者では
別人格の大谷翔平

 大谷はいつも従順なだけではなかった。

 ピッチ・コムの機材を持ち込み、自身でマウンド上から投球を測定した。その様子は、投手としてより闘争心をむき出しにする大谷の人間性そのものだった。その点は、加入2年目になってドジャース側が知った大谷の新しい側面だった。

「私の見るところ、君は投手のときにこそ強烈な感情をむき出しにして、立ち向かうように見える。一方で打者のときには、根本的に投手の投球に対する反応を重視しているようだね」

 ロバーツ監督が大谷にかけた言葉である。

「だから、投手のショウヘイと打者のショウヘイは別人格みたいなもので、マウンドに上がったときにこそむき出しの感情を見せているよね」

 大谷は、2024―2025シーズンの間で2度目のトミー・ジョン手術から復帰した3人のドジャース投手の1人だった。だが、彼の復帰は、ウォーカー・ビューラーとダスティン・メイのときよりははるかに順調だった。

「ショウヘイは、野球選手の中では完全に別格のアスリートだからね」

 そう評したのは、大谷の一部始終を目撃してきたビューラーである。

「オレには、どうすれば年間50本も本塁打を打てるのかよくわからない。でも、ショウヘイ自身が決めたペースを守りつつ日々を過ごしていれば50本も打てるし、豪速球も投げられるようだな。みんな同じことをやりたいんだけど、そうはいかないんだよね」