1988年の主演男優賞レースは『レインマン』のホフマンと『ミシシッピー・バーニング』のジーン・ハックマンの元ルームメイト対決と言われ、若きトム・ハンクスが『ビッグ』で初ノミネーションを受けた年でもあった。
美しすぎる俳優は
実力を認められにくい?
2度目であっても、目に見えて感激しているホフマンの受賞が叶ったのにも、クルーズの共演が影響している。それは、正真正銘のナンバーワンスターだったトム・クルーズと演技派俳優ダスティン・ホフマンの共演という話題性が押し上げた興行収入である。オスカーの行方には興行成績が少なからず影響するものだが、公開当時全米興収1.3億ドルの大ヒットは、クルーズ主演映画でこその結果だっただろう。
私の本音を言うなら、『レインマン』でトム・クルーズがノミネートされなかったのは、罪だとさえ思う。確かにホフマンの演技は見事だが、この作品で一番スクリーンタイムが長く、物語を進めて行く主人公はクルーズである。私達はクルーズに共感し、涙する。実際、冒頭は過剰なくらい嫌な奴が、次第に兄を思いやる優しい弟に変わっていく彼の演技は見事である。
この年、主要部門をいくつも押さえて最多受賞、作品賞受賞となった作品で一番大きな役を演じた主演俳優がノミネートされなかったのは、バリー・レヴィンソンの言葉を借りると「美しすぎる俳優は、実力を認められにくい」からなのだろうが、アカデミー賞の汚点ともいえる出来事である。
世界に知られる俳優であっても
オスカー受賞への道のりは長い
オスカーが白人男性中心の6000人程度の会員によって授与されていたかつて、ずば抜けた人気者が受賞できない事実は実際にあった。
72年『ゴッドファーザー』で初ノミネートを飾ったアル・パチーノは92年『セント・オブ・ウーマン』で悲願のオスカー受賞をするまでに20年8回ノミネートを要し、ポール・ニューマンに至っては、58年『暑いトタン屋根の猫』以来28年、やはり8回のノミネートの後だった。







