エミレーツ航空のエアバスA380 Photo by Koji Kitajima
イラン情勢の悪化はANAやJALをはじめとするエアライン各社の中東便欠航にとどまらず、ボーイングやエアバスなど航空機メーカーをも巻き込んだ業界全体の「四重苦」になるリスクがある。コロナ禍以上のイベントリスクになる可能性も否定できない。順を追って解説しよう。(航空ジャーナリスト 北島幸司)
「コスパがいい」で人気だったが…
卒業旅行や留学を直撃する中東便の欠航
アメリカとイスラエルによるイランへの攻撃、その報復の連鎖は、世界の空の要所である中東の航空網を完全に麻痺させている。日本から欧州へ向かう渡航者や、回復基調にあった航空産業全体に深刻な影を落としている。
最も大きな影響を受けているのは、3月から4月にかけて卒業旅行や春休み旅行、新年度からの留学を控えていた学生や若年層の渡航者だ。
エミレーツ航空、カタール航空、エティハド航空といった中東のメガキャリアは近年、日本から欧州へ向かうのに「コスパがいい」と人気だった。ANAやJAL、欧州エアラインの直行便や欧州内経由便よりも、低価格でありながらサービスが充実しているからだ。
ウクライナ戦争の影響でロシア上空を飛べなくなったことから、日欧間の路線は所要時間が最大15時間半にも延び、運賃も高騰したことで、中東経由の利便性とコストパフォーマンスがさらに注目されていた。
しかし、今回のイラン軍の攻撃は、ドバイ、ドーハ、アブダビといった巨大ハブ空港も焦点となり、中東関連便は運航停止、あるいは大幅な減便を余儀なくされている。
日本発着の主な中東関連便の状況(3月4日時点) 筆者作成拡大画像表示
格安で航空券を手配し、浮いた予算で現地での滞在を楽しもうと考えていた旅行者にとって、出発直前の欠航やルート変更にはさぞや落胆したことだろう。
ただし、落胆する例はこれにとどまらない。最悪のシナリオとしては、欧州便の二重苦どころか航空業界全体の三重苦、四重苦が待ち受けているといっても過言ではない。コロナ禍以上のイベントリスクになる可能性は、あるのだろうか。
外務省海外安全ホームページから作成







