ANA・JALもピンチ…イラン戦争で航空業界が想像以上のダメージ、「欠航より深刻」な問題とは?エティハド航空のボーイング787-10 Photo by Koji Kitajima

欧州航空安全庁が発した異例の警告
戦争長期化による欧州便の二重苦とは

 欧州航空安全庁(EASA)は、非常事態を受けて異例の通知を発出した。イラン、イスラエルに加えて、イラク、ヨルダン、サウジアラビアやUAEを含む広範な中東・ペルシャ湾空域において、全ての高度での飛行を避ける、あるいは極めて慎重な判断を下すよう強く勧告している。巡航ミサイルや弾道ミサイル、防空システムの誤認リスクが極めて高いと判断されたためだ。

 JALやANA、フィンエアーやルフトハンザなどの日欧直行便は、近年はロシア上空を避ける北回り(日本からアラスカ、北極海、グリーンランドを経由するルート)や、南回り(中国、中央アジア、トルコ方面を経由するルート)を選択してきた。

 しかし、欧州航空安全庁が指定する回避空域が広がったことで、南回りルートはさらに南のインド洋側へと押し下げられる。これにより、直行便であってもさらに1~2時間は飛行時間が増える。あるいは燃料補給のための経由地設定が必要になる可能性がある。

 中東経由という選択肢が消えると、利用者は残された欧州直行便や北米経由便(詳細は後述)に集中する。一方で座席の供給が激減するため、航空券の価格は一段と跳ね上がることが予想される。飛行時間が延び、価格は上がる――これらが欧州便の二重苦だ。

 なお、代替案として考えられるのが日本から北米を経由して欧州へ向かうことだ。例えば、東京から英ロンドンに向かうのにアメリカン航空を利用して乗り継ぐ場合はこうだ。

◆往路(羽田-ニューヨーク経由-ロンドン):所要時間は約22時間5分
◆復路(ロンドン-ロサンゼルス経由-羽田):所要時間は約27時間10分

 減便した影響で直行便が満席、あるいは運賃が高騰している現状では、こうした太平洋と大西洋をまたぐルートを選択せざるを得ないケースが考えられる。しかし移動だけで丸一日以上かかり、利用者の身体的な負担は相当なものになるだろう。