ビン入りミルクコーヒーはすでにあったのですが、それを缶入りにするには大変な努力が必要でした。長期保存できる缶入りにするには加熱殺菌をしなければなりませんが、そうするとコーヒーの香りは飛んでしまいます。
また、缶とコーヒーが化学反応を起こして真っ黒になってしまう、ミルクとコーヒーがどうしても分離してしまうといった難題がありましたが、これらの課題を解決することでようやくミルクコーヒー缶が商品化できたのです。
1970年に開催された大阪万博で、UCC缶コーヒーは認知されるようになり、爆発的ヒットとなりました。その後も缶コーヒーの世界では研究開発と企業努力が地道に繰り返され、いまでは無香料のブラックコーヒーも美味しく飲むことができています。これはすごいことなのです。
ところで近年は缶コーヒーよりもペットボトルコーヒーの存在感が増しています。
『教養としてのコーヒー』(井崎英典、SBクリエイティブ)
缶コーヒー人気が低迷し始めた理由のひとつは、昨今の嫌煙ムードとともにタバコを吸いながら缶コーヒーを飲む人が減ったからでしょう。
缶コーヒーは持ち運びができず、その場で飲みきらなければなりませんが、ペットボトルなら持ち運びできます。2017年4月にサントリーのペットボトルコーヒー「クラフトボス」が発売され、大ヒットとなりました。
ペットボトルコーヒーは、何度かに分けてチビチビ、ダラダラ飲む「チビダラ飲み」に合うように、味が薄くなっています。そして、時間が経っても味が変わりにくいレシピで作られているのも大きなポイント。マクドナルドとコンビニ各社が違うように、缶とペットボトルは似て非なるユーザーを抱えているのです。
このように、その時代のニーズに合わせながら、缶コーヒーやペットボトルコーヒーも進化し続けています。







