「レシピを見ないと味が決まらない」。そんな人は、物事をロジカルに整理できていないだけかもしれない。実は、センスがない人ほど料理を複雑に捉え、不要な調味料を足して自滅していく傾向がある。複雑そうに見える料理の味つけも、本質まで分解してしまえば驚くほどシンプルになるのだ。本稿では、文筆家・情報キュレーターである佐々木俊尚氏の新刊『人生を救う 名もなき料理』から一部を抜粋・再構成し、誰でも劇的に料理が上達する「味つけ」を解説する。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
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和えものの解像度を上げる
「和えもの」の要素分解をしてみたい。
辞書には「食材に調味料など味を加えるものを入れて混ぜ合わせたもの」と説明されている。
注目すべきポイントは、ふたつある。
ひとつは、食材を生のまま使う場合と、ゆでる場合の二種類があるということだ。
レタスやキュウリのようにそのままサラダに使える食材なら生のままでいいが、ゴボウのような硬い根菜はゆでたほうがいい。
もうひとつ注目するのは、和えものはたいてい塩味に加えて酸味が入っていることだ。梅肉、ゆかり、酢、マスタード、みんな酸っぱい。
「和えもの」と「サラダ」の境界線とは
この「塩味と酸味」という組み合わせに、皆さんはピンと来ただろうか。
それは何かというと、「野菜を塩味と酸味で和える」というのは、サラダと同じ味つけなのである。より正確に言えば、塩味と酸味に油を加えたものがサラダの味つけだ。
言い換えれば、和えものに油を追加すると、「だいたいサラダ」になるとも言える。
和えものやサラダに限らないが、わたしたちは料理を和食と洋食、中華、韓国、東南アジアといったように国別・地域別に分類して、それぞれは別のものだと考えている。
しかし家庭料理ぐらいのレベルなら、全部一緒くたにとらえてしまっても問題ない。和食も韓国料理もイタリア料理も、味つけの構造を見抜いてジャンルにくくってしまえばいいのだ。
この「解像度を上げる」思考さえ持っていれば、レシピ本に頼らずとも味つけに迷うことなく最適な一皿を導き出せるようになる。
(本記事は、書籍『人生を救う 名もなき料理』を抜粋・再編集したものです)
1961年生まれ、文筆家。テクノロジーから政治、経済、社会、ライフスタイルにいたるまで縦横無尽に発信している。現在は東京・長野・福井の三拠点生活を送り、コロナ以後に注目されてきている移動生活の先駆者でもある。妻は、イラストレーターの松尾たいこさん。一緒に暮らし始めたときから、料理は全面的に担当。その毎日の食卓を織り交ぜつつ、手際のよい調理の仕方、献立の立て方などを紹介した著書『家めしこそ、最高のごちそうである。』(マガジンハウス)は、大きな話題を呼んだ。『人生を救う 名もなき料理』は、12年ぶりの料理関連の書き下ろしとなる。







