◆「最近なんだか疲れやすい」→脳が燃えているSOS?
「人の名前が出てこない」「今やろうとしたことを忘れた」――そんな日常の些細な物忘れは、もしかすると脳からのSOSかもしれません。『脳の専門医が教える 100歳までボケない脳』(ダイヤモンド社)は、7000人の脳を診察し、3000本以上の論文を読破した専門医が「一生ボケない脳のつくり方」を徹底解説した1冊。カギとなるのは、脳の免疫細胞「ミクログリア」。生活習慣の乱れによってミクログリアが暴走すると、認知症の引き金になる一方、上手に味方につければ、いつまでも若々しい記憶力を保つことができるのです。難しいトレーニングは必要ありません。【血圧】【食事】【睡眠】【速歩】【呼吸】【お酒】という毎日の生活を見直すだけの6つの習慣術で、100歳まで健やかな脳を育てていきましょう。
※本稿は、『脳の専門医が教える 100歳までボケない脳』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。

【脳の専門医が教える】「甘いものでリフレッシュ」は脳に逆効果? 頼れる味方を“最悪の敵”に変えるNG習慣Photo: Adobe Stock

頼れる味方が最悪の敵に変わる瞬間

ミクログリアは有能ではありますが、“諸刃の剣”でもあります。ミクログリアは、運動や食事といった日々の「生活習慣」に極めて敏感です。そして、悪しき生活習慣によってひとたびコントロールを失うと、脳の“守護神”から一転、恐ろしい“暴走”をはじめるのです。

静かに燃え広がる「見えない火種」の恐怖

暴走したミクログリアは、脳内に「炎症」を引き起こす悪玉物質(炎症性サイトカイン)を撒き散らします。炎症は、傷を治すための一時的な反応なら不可欠です。

しかし、この“脳のボヤ”がダラダラと慢性化すると、やがて全身を蝕む「大火事」へと発展します。これが「慢性炎症」というものです。

【解説】脳内で火災警報を鳴らし続ける「NG習慣」とは?

ミクログリアを暴走させ、脳内に慢性的な炎症(ボヤ)を起こしてしまう最大の原因は、私たちが何気なく繰り返している「日常のストレス」にあります。具体的には、慢性的な睡眠不足や過労、過度な精神的ストレス、そして糖質や食品添加物に偏った乱れた食生活などが挙げられます。

こうした悪環境が長く続くと、ミクログリアは常に「深刻な敵が侵入してきた」と錯覚し、過剰な警戒態勢を解けなくなってしまいます。その結果、本来守るべき正常な神経細胞にまで攻撃の牙を剥き、結果として認知機能の低下や気分の落ち込みを招いてしまうのです。

食卓から始める、脳内の「消火活動」

では、この恐ろしい「慢性炎症」の火種を消し止め、ミクログリアを本来の優秀な清掃員に戻すにはどうすればよいのでしょうか? 今日からできる最も身近で強力なアプローチが「毎日の食事の見直し」です。

炎症を鎮めるためには、オメガ3系脂肪酸(サバやイワシなどの青魚に含まれるDHA・EPA)や、抗酸化作用の高い緑黄色野菜、ナッツ類を積極的に摂ることが非常に効果的です。これらは、脳内の火事を静める「天然の消火剤」として働きます。

逆に、過剰な砂糖やトランス脂肪酸(一部のスナック菓子や加工食品)は火に油を注ぐ行為となりますので、少しずつ減らす意識を持ちましょう。

今日の選択が「10年後のクリアな脳」を創る

脳の慢性炎症は、痛みを感じないため自覚症状がほとんどありません。「なんだか最近疲れやすい」「頭がスッキリしない」といった些細な不調が、実はミクログリアからのSOSかもしれないのです。しかし、絶望する必要はありません。

私たちの身体は、今日食べたものや今夜の良質な睡眠によって、確実に細胞レベルからリセットされていきます。暴走した守護神をなだめ、再びあなたの頼もしい味方にするための主導権は、あなた自身の手にあります。

まずは今日、甘いものを一つ減らし、早めにベッドに入る。そんな小さな行動の積み重ねから、脳を守る最強の防衛線を再構築していきましょう。

※本稿は『脳の専門医が教える 100歳までボケない脳』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。