AIエージェントは生成AIやRPA、チャットボットと何が違うのか

 2025年は「AIエージェント元年」といわれ、さまざまなベンダーから「AIエージェント」なるものがリリースされた。しかし亦賀氏はこの状況に懐疑的だ。「ただのRPAやチャットボットまで『AIエージェント』と呼んでいる。『なんちゃってAIエージェント』が多過ぎる」。

 Gartnerでは、チャットボットやRPAを次のように定義している。

 ●チャットボット:設定した通りに答えを返す。
 ●RPA:設定した通りにタスクを実行する。

 設定した通りにしか動かないこれらを「エージェント」と呼ぶのは無理があるだろう。

 対してAIエージェントとは、設定通りにしか動かないチャットボットやRPA、単に質問したことに答える生成AIとは異なり、設定された目標を達成するために、自律的に状況を判断し、計画立案、外部ツールや既存システムを活用しながら実行までを一貫して担うAIのことを指す。従来のAIが「指示に応じて回答する存在」だったのに対し、AIエージェントは「目標達成に向けて主体的に動く存在」へと進化している。

 例えば、市場調査を依頼すれば、調査項目の整理、情報収集、分析、レポート作成までを一連の流れとして実行する。週末にどこかに旅行に行くプランを依頼すると、航空会社とホテルとレンタカー、観光地と自分の好みに適したレストランの候補を旅程表とともに提案してくれ、承認すれば必要な予約またはチケットを購入してくれる。人は詳細な手順を逐一指示するのではなく、目的と条件を示すだけでよく、AIがその達成プロセスを設計し、タスクを実行するというわけだ。

 このようなタスクをこなすAIエージェントは、現行のAIエージェントがさらに進化したもので、「エージェント型AI」と呼ばれる。

2030年代にはAIが人間の知能を全方位で凌駕する

 一体、AIはこの先、どのように進化していくのだろうか。ガートナーが作成したAIの進化を予測した以下の図は、衝撃的な未来を予言している。

図:AIの進化は加速する

AIエージェントは業務効率化の「便利な道具」ではない。「産業革命」というレベルの社会の根本的な変化として捉えるべき出所:ガートナージャパン
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 ChatGPTやGeminiなどLLM(Large Language Models:大規模言語モデル)が世に登場したのは2022年から23年。わずか3〜4年前のことだ。そして、AIエージェントや弱いエージェント型AIの導入が始まっているのが現時点。

 これから1、2年の間にAIエージェントはさまざまな業務システムに導入されていき、27年から28年にはより強いエージェント型AIが導入される。同時に世の中に初期のAGI(Artificial General Intelligence=汎用人工知能:人間と同等かそれ以上の知能を持ち、多様なタスクを自律的に学習・理解・解決できる次世代のAI)が誕生するという。

 そして30年代には、シンギュラリティを起こすと言われるASI(Artificial Super Intelligence=人工超知能:人間の知能を全方位においてはるかに凌駕する能力を持つ、理論上の次世代人工知能)が誕生する。

 これは10年、20年先の話ではない。わずか数年で起こる変化である。この超スピードの変化に適応できるかどうかが、日本企業と日本のビジネスパーソンの生命線なのだ。