木名瀬 この結果を元に、介護をしている社員、経験した社員に「職場環境に関するインタビュー」も行ったのですが、「上司にサポートしてもらった」「業務時間や担当業務を柔軟に変えてもらった」という回答があった一方、「上司に相談したら、『他の家族が対応できないのか』と言われた」「『いつその状況は改善されるのか』という質問ばかりされる」などといった回答もありました。

 介護との両立に関わる上司の知識・理解不足が背景にあると考え、25年には新しい試みとして「管理職を対象にしたリテラシー向上研修」を実施しました。

――調査やインタビューを受けて、施策へとつなげたのですね。管理職向け研修の反響はいかがでしたか。

木名瀬 非常に大きな反響がありました。「正解が分からないまま、なんとなく『在宅勤務にしていいよ』と伝えていた」「今後、どのように言葉をかければよいのかがわかった」「自身の介護経験もなく、これまできちんと想像ができていなかった」などといった声がありました。

制度を利用しやすくするために
マネジメントサイドの理解が重要

――今後の展望、また、拡充予定の取り組みはありますか。 

木名瀬 仕事と介護を両立する社員に対する上司や周囲の理解醸成は、一朝一夕には進みません。当事者支援に加え、今後は周囲の理解促進にもさらに力を注ぎます。社員の平均年齢上昇にともない介護に直面する社員は増えますので、別の課題も見えてくるだろうと考えています。課題を知るために、さらに社員の声を拾い上げていきたいです。

 また、生命保険会社として、介護という社会課題にどう貢献するかを常に考えているので、その取組みの中で得た知識を社員に還元する施策も強化していきます。

――両立支援のポイント、介護に直面するビジネスパーソンに向けてアドバイスをお願いします。

川中 介護が必要となったときに使える制度や相談先を知っているだけでも不安は大きく減ると思います。両立のための制度をより利用しやすくするには、上司などマネジメントサイドの理解も重要です。当事者はもちろん、上司に対しても制度内容や社員との向き合い方を理解してもらうことが重要だと考えています。

木名瀬 介護は予測できず、個人だけで準備・対応するには限界があります。制度、相談先、コミュニケーションの取りやすい関係性、企業風土作りなど、多角的な取り組みが必要です。

 介護はまだ先だと思っている社員にも、日常的かつ継続的に多くの情報に触れてもらうことが、組織においての両立支援で大事なことだと考えています。当社は業界横断的に人事やダイバーシティ担当が集まり、施策や知識を共有する場に参画しています。今後もいろいろな情報を吸収しながら進めていきたいと思います。