
2025年4月に育児・介護休業法が改正された。介護に直面した従業員への個別周知・意向確認、40歳での情報提供、相談窓口設置などが企業に義務付けられた。実際に企業ではどのように対応しているのか。早くから仕事と介護の両立支援に取り組んできた花王。同社人財戦略部門DE&I推進部マネジャーの澤田悦子氏に、具体的な施策や、両立支援を推進する際のポイントを聞いた。(聞き手/ダイヤモンド社 論説委員 大坪 亮、文/ライター 奥田由意、撮影/瀧本 清)
自助努力への支援と
お互い様意識の醸成
――最初に、介護支援の方針について教えてください。
花王の介護支援方針は「自助努力への支援」と「お互い様意識の醸成」という二本柱で構成されています。
花王には長いDE&I(Diversity<多様性>、Equity<公平性>、Inclusion<包括性>)の歴史があります。古くは1934年の長瀬家事科学研究所設立以来、女性社員が多く活躍しています。90年代からは、女性の就業継続を支援するため、育児や介護の制度拡充に取り組んできました。
2000年代に入り、社会的にワークライフバランスへの意識が高まる中、育児はむろんのこと、将来的に介護に直面する社員が男女問わず急増することが試算で分かりました。そこで09年に社員アンケートを実施したところ、介護に関して社員が抱える心配事として「心理的負担」「時間的負担」「経済的負担」という三つの大きな課題が浮き彫りになったのです。
人財戦略の視点では、社員が急に抜けてしまうことや、介護に直面するのは年齢が上の管理職が多いこと、介護が続く中で転勤や異動ができなくなること、介護ストレスによる意欲低下といったリスクが認識されました。
働き盛りの社員や管理職が介護によって離職したり、生産性が低下したりすることは会社にとって大きな損失です。社員が意欲を持って働き続けられる環境を整えることは、社員個人にとっても会社にとっても必須であるという認識に至りました。
ただ、会社が制度や環境を整えるだけでは不十分です。介護の状況は一人一人異なりますので、社員自身が主体的に情報を収集し、必要な制度を選んで活用するべきです。また、周囲の社員が「お互い様」という意識を持って支え合う職場風土も大切です。そこで、当事者の「自助努力」を会社が支援するとともに、職場全体で「お互い様意識」を醸成するという方針を定めました。







