さまざまなバイアスが生まれ
仕事がデキる人ほど不利になる

 上司が部下を主観的に評価すると何が起こるのでしょうか。おそらく、本稿の読者の中には「いいことなんかない」と思っている人もいるでしょう。もちろん、主観的な評価の負の側面も過去の研究では明らかにされています。

 たとえばよく問題点として取り上げられるのが、えこひいきです。上司が特定の部下だけをかわいがって、ほかの部下をあまり評価しないといった状況です。逆にいうと、部下は上司にかわいがってもらうために媚びを売ることになります。

 また心理学的な側面からは、主観的な評価は客観的な評価と異なり、さまざまなバイアスを生み出すことがわかっています。有名なのが中心化バイアスと寛容化バイアスです。

 たとえばみなさん、1~5の5段階評価のアンケートに回答するとき、1や5の極端な点数を選ぶことはあまり多くないでしょう。このように、人を評価するときにも中央に評価が集中する傾向があります。これが中心化バイアスです。

 さらに、人を評価するときにはどうしても、ものすごく低い点数をつけづらいと思います。知っている人が相手ならなおさらです。このように、評価が甘くなり、少し上の方に固まってしまうバイアスが寛容化バイアスです。

 中心化バイアスや寛容化バイアスの問題点は、評価されたときのバラツキが少なくなることです。たとえば、AからEのランクで誰かを評価するとき、極端に低いEはめったにつきませんし、逆にBやCに評価が集中してしまう可能性があります。

 そうするとなかなか差がつかず、仕事のできる人でも「評価されていない」と感じてしまう可能性があります。悪いのはあなたの上司ではなく、人間がそもそも抱えているバイアスであることも多いのです。

 もちろん、心理学だけでなく経済学の観点からも評価者のもつバイアスは議論されています。

 たとえば、東京大学の川口大司らの研究によれば、現職での在職期間が長い部下に対して、上司はより率直な評価をする傾向があるなどのバイアスが存在することを示しています(Kawaguchi et al. 2016)。