2025年はNHK大河ドラマに初出演し、花魁役が話題になった小芝風花。今回はオリジナルアニメーション『映画 えんとつ町のプペル~約束の時計台~』で植物の精霊・ナギを演じた。「相手を信じて待つ」ことをテーマに描かれる今作では、声の出演だけでなく、歌唱シーンにも挑戦するなどマルチな才能を発揮。製作総指揮を務める西野亮廣の下で、主人公ルビッチとゴミ人間プペルの強い絆が再び描かれる。(撮影:高野広美 取材・文:高山亜紀)

「ダイヤモンド・ザイ」2026年5月号の「表紙の人/Precious Talk Lounge!」を基に再編集。データはすべて雑誌掲載時のもの。

「失敗も成功も経験になる」
相手を信じることの大切さ

 昨年は「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」でNHK大河ドラマ初出演、花魁役が話題になった小芝風花。観客動員196万人を記録したオリジナルアニメーション『映画 えんとつ町のプペル』の最新作『映画 えんとつ町のプペル~約束の時計台~』では抜群の演技力を買われ、人に化けた植物の精霊・ナギ役にキャスティングされた。監督の廣田裕介も「お芝居の引き出しが多くて感服しました」と絶賛。声の出演に加え、歌唱も披露している。

小芝風花小芝風花●大阪府出身。2012年にドラマ『息もできない夏』で俳優デビュー。2025年、『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』で大河ドラマ初出演。主演するNHKのBS時代劇『あきない世傳 金と銀3』が4月5日から放送開始予定。
ヘアメイク:菅野綾香 スタイリスト:小川未久 衣装:ブラウス、ジャンプスーツ/グリードインターナショナル イヤリング、バングル/Jouete リング/ete

「お話をいただいた時には、台本を読む前に『やりたいです』と即答してしまいました。大人気作品に声をかけていただいて、大変、光栄です。ただ、歌唱シーンがあったのでそれが心配でした。収録の2カ月ぐらい前からボイストレーニングに通い、自主練して、臨みました」

 お笑いコンビ「キングコング」の西野亮廣が製作総指揮・原作・脚本を手がける人気作。前作は日本アカデミー賞をはじめ、国内外30以上の映画祭で評価された。

「前作も今作も、信じることがテーマになっています。前作は、自分の気持ちを信じることの大切さが描かれていました。主人公ルビッチが大切に想っている親友のゴミ人間・プペルを周りの人は排除しようとします。それでも流されないルビッチに、“周囲からどう言われようと自分がどう思うかが大事なんだ”と力強いメッセージを受け取りました。

 今作は相手を信じて待つことが描かれます。SNS主流の現代、人との関係も希薄になりつつあり、物事もなるべく効率よく進めたい、というタイパ優先の世の中になっています。だからこそ相手を信じて、できるまで待つことがどんなに大切なことか。時には自分でやった方が早いと思ってしまうかもしれません。例えば、親子なら、子どもが初めて何かをする時、ハラハラして見ていて不安だし、つい口出ししたくなって、お母さん、お父さんがやってあげた方が早いなと考えることがあるかもしれません。それでも失敗も成功も子どもの経験になるから、自分でできるようになるまで信じて待ってあげる。その大切さをこの作品から感じることができます」

 本作で彼女が演じているのは人に化けた植物の精霊・ナギ。一方、彼女が出会う時計師ガスを演じているのはミュージカル俳優、吉原光夫。

「ナギはハツラツとしているので元気さを出したいと思っていましたが、最終的には西野さんの演出にお任せしようとあまり事前に決め込まず、光夫さんと一緒に演じさせていただきました。掛け合いのような雰囲気を大切にしながら、『もうちょっと明るく』といった西野さんの指示になるべく対応できるよう頑張りました。台本にあった台詞を削ったり、変えたり、その場で変化していくことも多かったです。ナギは歌が好きなので、台本にはなかったけれど、『ここで鼻歌を入れてください』と言われたことも。戸惑いましたが、光夫さんが指導してくださって、助かりました。その場で生まれるアイデアがどんどん盛り込まれて、楽しい現場でした」

 ガスは酒場で聞いたナギの歌声に魅せられるという設定。

「歌うのは好きなんですけど、お仕事として成り立つかって言われるとそんなレベルじゃないような気がして(苦笑)。それでも、できる限りのことはしたくて、自宅でも発声練習したり、ボイストレーニングで習ったことを復習したり。収録前には、作品の音楽を担当されている富貴晴美先生にも指導していただいてから、本番に臨みました。バーに酔っ払いのお客さんがいっぱいいるなか、どうやったらガスを惹きつけるような歌い方になるのか。先生と試行錯誤しながら、演じました」