大事なことは何度も出てくるわけではない
――“反復”に向いているものとそうでないものがあると。
望月 そういう意味では、反復練習によって定着を図るべき事柄はいろいろあります。繰り返し使うことになる計算や数え方、式をつくる手順などは、反復練習によって定着を図るのが普通です。しかし、すべての事柄を反復練習で頭に入れるというのは、無茶な発想です。時間が無限にあるわけではないからです。また、忙しい毎日の勉強の中での反復練習は、計算法や式をつくる手順や答えそのものに意識が向いてしまうのが普通で、学びの本質からどんどん遠ざかってしまいがちです。
生徒たちに何度も言っているのですが、みんなにとって大事なことは、いや大事なことほどと言い直した方がよいが、何度も出てくるわけではない、繰り返し経験することもない。当然、自然にというか知らない間に覚えることはない。だから、必要なときに取り出せるようにいかに頭の中に収納するという意識をもって取り組まないと、結局使えないことになるのだ、と。
反復練習という発想では解決しないというのは、こうした誰もがいつも使って自然に身に付けていくのではない内容に関する話なのです。
大手塾の最上位生は、最難関受験に必要なカタラン数、継子立て、かく乱順列、オイラー関数など、整数問題関連の高度な内容を学んで公式もしくは解法そのものを覚えているのですが、それらの性質を成り立たせる理由や根拠を説明してみよと問うと、「そんな説明は聞いていない」とか、「説明されたけれど忘れた」と平然と口にします。原理というか根拠を理解していない生徒は、当然ですが、関連する応用問題に対処できないか、根拠を自分で探し始めるので、問題解決まで膨大な時間を要します。
――“根拠”を知るためにはどうしたらいいのでしょう。
望月 塾の授業の中で説明がないとすれば、不幸としか言いようがありません。説明があるとしてもですが、それらの高度な内容は塾での日々の演習の中で繰り返し出てくることはありません。プリントへの書き込みや消費されていくノートへの単なるメモ書きでは,必要なときに再現できません。受験勉強の過程で、反復練習により自然に身に付く性質のものではない、ということです。
入江 いつでも再現できるように、何らかの形で自分が学んだ重要事項をまとめておくノートが必要になりますね。それを作る過程で、根拠を確認する習慣も自然と身に付きますしね。
――こうした「まとめノート」の大切な役割については、現物を見ながら次回お話をうかがいましょう。







