「大義」のない他者攻撃というのは単に「あいつなんかムカつくからやっちまおうぜ」というクラスのイジメみたいなものなので、同じ感性を持つ「ムラ」の内部では瞬間風速的にブームとして盛り上がるが、多数派(マジョリティー)の共感や賛同は得られない。

 つまり、モスバーガー不買運動は壮絶にスベってしまう可能性が高い。

「亀田製菓叩きの大失敗」
モス不買運動も失敗する

 なぜ筆者がそんな意地の悪いことを言うのかというと、同じく不買運動が呼びかけられるも売り上げに全く影響なく、好業績を叩き出した「亀田製菓」のケースとまったく同じパターンだからだ。

 ご存じのない方のために説明すると、「ハッピーターン」や「柿の種」で知られる亀田製菓が25年1月、愛国心あふれる人々から「日本から出てけ!」「もう買いません!」などとボロカスに叩かれたのだ。

 きっかけは欧州メディアによる、インド出身の会長CEOのインタビュー。英語で「外国人材を活用していく」と答えたことを、「外国人労働者」という日本独自の概念を持たないがゆえ「さらなる移民受け入れ」と雑に意訳されたことで炎上。

 そこに加えて、めざとい人々が亀田製菓の製品の原産国表示の中で「中国産」が含まれている画像を拡散、さらに韓国企業と業務提携をした過去も蒸し返されて、反日認定されて不買運動が呼びかけられたというワケだ。

 SNSでは不買の成果として、「柿の種」が大量に山積みになって安売りをしていると思わせるような画像や、ライバル会社の製品が売り切れているかのような空の棚の写真がアップされた。参加者は「効いてる効いてるwww」「倒産するのも時間の問題」などと大盛り上がりしたものだ。

 では、この大いに盛り上がった「愛国不買」の結果がどうだったかというと、ほとんど影響がなかった。亀田製菓の2025年第一四半期の国内米菓事業の売上高を見ると176億4900万円、前年同期から約7億円アップで順調に成長を続けているのだ(亀田製菓グループ2025年度第1四半期 決算補足資料)。

 SNSで一部の人があれほど大盛り上がりしていた不買運動がなぜここまで豪快にスベったのか。当時も「亀田製菓、ざまあ」まだ不買運動を続けている人が“日本の敵”になってしまうワケ」(ダイヤモンド・オンライン)で詳しく解説したが、一言で言ってしまうとこうなる。

「ノイジーマイノリティーが騒いでいただけで一般消費者、特にまともな社会人の共感・賛同が得られなかった」

 例えば「亀田製菓が中国産を使っているぞ!」と鬼の首を取ったかのように批判していたが、これはかなり浮世離れした主張だった。

 日本人が大好きな「安くてうまい」を実現する外食や小売りでは、中国産食材が当たり前のように使われている。忙しい家庭の強い味方である「冷凍食品」では定番の冷凍ほれんそう、ブロッコリー、ミックスベジタブルなどは80〜95%を中国産が占めている(Wedge ONLINE 2月6日)。

 こういう現実を知っている人は「何を今更」とシラける。またリテラシーのある人は「アホくさ」と脱力する。ちょっと調べてみれば、亀田製菓のライバルメーカーも普通に中国産原料を使っていることがわかるからだ。