1日に1杯のコーヒーでも
糖尿病のリスクが低減

 答えは、コーヒーである。

 コーヒーの健康効果が一番最初に示されたのは2002年。オランダの男女約17000人を対象に、コーヒーと2型糖尿病リスクとの関連を調査すると、1日に7杯以上のコーヒーを飲む人は、1日に2杯以下のコーヒーを飲む人に比べて2型糖尿病を発症するリスクが低下したのだ(※3)。

「その研究を行ったのは、当時若い研究者だったオランダのヴァン・ダム教授。その後、彼はハーバード大学に呼ばれてコーヒー研究部門を立ち上げ、数多くの論文を発表したんですよ」

 そのほかの研究で1日に1杯のコーヒーでも糖尿病のリスクが数%低減することがわかっている。

「中でもカロリンスカ大学のメタ解析(共通課題に取り組む独立した研究から、データを統合する手法)は信頼できる報告です。それによると、1杯ごとに6%の2型糖尿病発症低下が認められるとのことです(※4)」

コーヒーをよく飲んでいる人は
肝がんの発生率が低い

 日本でも2005年、国立がん研究センターが「コーヒーをよく飲んでいる人は肝がんの発生率が低い」「1日5杯以上飲む人では肝がんの発生率は4分の1にまで低下」という調査結果を発表している(※5)。

「コーヒーを飲むと慢性腎臓病の改善や、肝臓に損傷が起きる肝硬変や肝線維化の改善にも有効です。2005年には米国消化器学会誌の表紙で、人の体にコーヒー豆が詰められている、特に肝臓の部分に色濃く描かれる絵が描かれたんですよ(写真)」

米国消化器学会誌の表紙2005年発行の米国消化器学会誌の表紙

「最近では『コーヒーを1日1杯摂取するごとに、重度の肝線維化に移行する確率が0.42ずつ下がっていく』という論文も発表されました(※6)。C型肝炎ウイルスに感染すると、肝線維化が進行しやすいのですが、コーヒーを1日1杯摂取するごとに、重度の肝線維化に移行する確率が0.42ずつ下がっていくのです。この論文には一般市民向けの論文要旨がついているのですが、それも含めて『C型肝炎ウイルスに感染したら、毎日コーヒーを飲みなさい』というメッセージが強く伝わってきます」

その報告では、糖尿病や不健康なアルコール摂取は肝線維症へのリスクを3.6~4.6倍も高めるが、毎日のコーヒー摂取量には逆相関の関係が見られると記されている。

 毎日のコーヒーと肝線維症の重症化リスクの関係

図・毎日のコーヒーと肝線維症 重症化リスクの関係※オッズ比とは:1より大きいと疾患への罹りやすさがより高いことを意味する。1より小さいと疾患に罹りにくいことを意味する
出典:Carrieri P, et al. "Relationship between coffee consumption and severe liver fibrosis..." JHEP Rep. 2022. を元に作成 / CC BY 4.

 それではなぜコーヒーがこれほど人の体に良い影響をもたらすのか。

(※3)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12433517/
(※4)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29590460/
(※5)https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/274.html
(※6)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35514789/