コーヒーの三大健康成分には
抗炎症作用・抗酸化作用がある

岡氏が“三種の神器”と呼ぶ、コーヒーに含まれる「三大健康成分」を紹介する。

「コーヒーに含まれる成分のうち、薬理学として体に効く、有効投与量を満たしているといえるのは『カフェイン』『クロロゲン酸』『トリゴネリン』の三つ。まずカフェインは冒頭紹介したように抗炎症作用、そして覚醒作用があります」「次にクロロゲン酸はポリフェノール、抗酸化成分としてよく知られていますが、実は体に吸収されるとほとんどがフェルラ酸に変わることが数年前にわかりました。フェルラ酸は米ぬかに豊富に含まれていて、聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。フェルラ酸も、クロロゲン酸と同様に抗酸化、抗炎症作用が報告されています」

 そして近年注目されるのが、「トリゴネリン」だ。抗酸化、抗炎症作用に加えて筋肉の力を回復させることが2024年、国際学術誌『Nature Medicine誌』に報告された。

数多くの疫学研究を統合すると
コーヒーは「1日に2、3杯」がお勧め

とはいえ、飲めば飲むほどいいわけではない。強力に体に作用するからこそ、飲みすぎは毒にもなりうる。

 特にコーヒー1杯(150ミリリットル)当たり、約90ミリグラムのカフェインが含まれているが、1日400ミリリットル以上の慢性的なカフェイン摂取は心疾患のリスクを高めるとされる。岡氏は数多くのコーヒーにまつわる疫学研究を統合して考え、「1日に2、3杯」を勧める。

「飲みすぎの領域は1日5杯からでしょう。そして1日に10杯を超える、カフェインにして1000ミリグラム摂取となると、リスクが高まり害になる恐れがあります。これは医療現場で投与できる上限とほぼ同程度なのです」

1日1杯のコーヒーは
心臓を守る

1日2杯で「糖尿病・肝臓病・腎臓病」リスクが下がる《すごい飲み物》とは?【コンビニで買える】岡希太郎(おか・きたろう) 東京薬科大学名誉教授。日本コーヒー文化学会常任理事サイエンス委員長。東京薬科大学卒業。東京大学薬学博士。 スタンフォード大学医学部留学。

 飲みすぎれば心疾患のリスクを高めるが、1日1杯なら心臓を守る。Nature Medicine誌に昨年、興味深い論評が掲載されたという。

「しばしば不整脈を伴う心房細動という疾患がありますが、『1日1杯のコーヒーは心房細動の予防に役立つ』という短い論評です(※6)。電気除細動(不整脈を矯正する措置)後の心房細動再発に対する、コーヒー摂取の影響を調べた研究が取り上げられました」

「研究チームは200人を登録し、コーヒー摂取群(1日1杯)と非摂取群(コーヒーを摂取しない)に割り付けたところ、6カ月後、コーヒー摂取群では非摂取群と比較して心房細動の発症率が39%低下していました。1日1杯のコーヒーは安全で、再発のリスクを低下させる可能性があることを示しているのです」

缶コーヒーでお勧めは
「BOSS(ボス)」の無糖ブラック

 さて手軽にコーヒーを飲むなら、「缶コーヒー」だろう。

 さまざまなコーヒーを試飲し、自身でもコーヒーの健康成分を効率よく抽出する手法を開発してきた岡氏の一押しは、「BOSS(ボス)」の無糖ブラック。BOSSの缶コーヒーは「豆の味を感じる」のだという。

「UCCもいいんですけどね。自動販売機であまり手に入らないから」と、笑うのだった。

 次回は、岡氏が結論づけた「コーヒーの最強の飲み方」を紹介する。

(※6)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41266839/

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>>【第2回】「コーヒーは「認知症・細胞の老化」の予防に効く、その《最強の飲み方》とは?【専門家の結論】」は3月20日(金)に配信予定です

近年コーヒーで注目を集めるのは「トリゴネリン」という成分だ。これが「認知症、細胞の老化」の予防に作用するという。トリゴネリンを失わない、最強の飲み方とは?