今こそ厳しい現実を生き抜く経営者の生きた声が必要

 企業を率いる経営者は、従業員の生活を背負う責任者である。自社の利益だけを追求していても、社会が崩壊すれば企業も滅びる。ゆえに、経営者は政治に関心を持ち、堂々と発言しなければならない。

  世間には、ビジネスリーダーが政治に口を出すことを厳しく批判する風潮がある。企業は利益だけを追い求めていればよい、政治のことは専門の政治家に任せるべきだという批判である。

   しかし、右の立場であれ左の立場であれ、経営者は自身が社会に対して思っていることを、恐れずに口に出すべきである。

 むしろ、政治の世界を見渡せば、親や親族から受け継いだ選挙の地盤だけで政治家になっている人たちが目につく。一部の世襲政治家の中には、地元の地域が経済的に衰退して人々が苦しんでいるのにもかかわらず、自身の選挙の地盤さえ未来永劫安全に保たれればよいと、危機感なく考えている者がいる。

 平和な時代に甘えきって、まるで寝ぼけているかのような考えを持つ人たちの口を塞ぎたくなるほど、今こそ厳しい現実を生き抜く経営者の生きた声が必要なのである。

 経営者は、自分たちの会社を守るために、毎日必死に考え、決断を下している。経営者の真剣な視点を政治に持ち込むことこそが、停滞した社会を目覚めさせる強力な刺激となるはずである。

 経営者の政治参加が社会や経済に与える影響は、学術的にも証明されている。論文『Executives in Politics』(Ilona Babenko、Viktar Fedaseyeu、Song Zhang、2023年)では、次のように述べられている。

《経営者が連邦選挙に勝利した企業は、選挙後3日以内に1.4%のプラスの異常株式リターンを経験し、同結果はサンプル内の平均的な企業において約2億ドルの時価総額増加に相当する》
《ビジネス政治家は一度選出されると、企業利益に向けて権力の均衡をシフトさせる政策に投票することを示す》

 論文が示す通り、経営者が自ら政治の舞台に立つことは、明確な結果を生み出す。市場は経営者の政治参加を歓迎し、企業の価値は上昇する。さらに、法律を作る場において、企業の活動を後押しする政策を実現する力を持っている。