池脇千鶴の高速塩まきが最高
「代わりに おトキさんに書いてもらってくれない?」
イライザが唐突にこんなことを言い出す。
来たときは「オトキシショウ」だったのが「おトキさん」になっている。
小説、いや回顧録を、丈に「あなたが書かせるの」と強く言うイライザ。
これには丈も面食らってしまう。
この展開はひじょうに興味深い。イライザは意識しているのかどうかわからないが、これによってトキにも丈にも一歩踏み出させようとしているのだ。
亡くなった偉大な人物が常に目の前をちらついているトキと丈。トキは学がないコンプレックスを克服し、丈は兄を超えられないコンプレックスをトキのリテラリーアシスタントになることで超えることができるかという課題がラスト3話、イライザによって突きつけられた。
イライザは才媛設定なので、怒りよりもヘブンの回顧録を出版することで、ヘブンの名誉回復をしようと合理的に考えただけかもしれない。
いずれにしても怒っていたイライザが急にトキに回顧録を書かせようと言いだすところはかなり唐突で、ここももうちょっと時間をかけて書いてほしかった気がする。
いずれにしてもシャーロット・ケイト・フォックスは『ばけばけ』では朝ドラヒロインに立ちふさがる姑や恋敵的役割である。
唐突な提案を残し立ち去るイライザを猛然と追いかけてきたのはフミだ。
走りながらイライザの足跡に塩をまいていく。池脇千鶴がスタスタスタと素早く漫画のキャラのような、走り塩まきを見せる。なかなかの名シーン。イライザもトキも丈も霞んでしまう。『ほんまもん』(2001年度後期)のヒロインだった池脇千鶴もまた『ばけばけ』に爪痕を残した。
一部始終を聞いた司之介は、「KWAIDAN」はいい本だと言う。「雪女」は勘右衛門(小日向文世)が松江で雪女と会った話がもとになっていて彼にとっても勘右衛門にとっても宝物になっていた。そう、ヘブンの『KWAIDAN』出版の意義とはこういうことであろう。消えゆく日本人の記憶を書き残すこと。
イライザが言うトキにしか書けないものとは何か。絵ですかね、とクマ(夏目透羽)。
でもトキは絵だって幼稚だろうと考える。自分がやってきたすべてのことがヘブンの能力を貶めることになったのだと思いこんでしまった。
「頭の中が今ぐちゃぐちゃだけん」トキは1人、部屋に籠もってしまう。書けないと部屋にこもるのはヘブンみたいだ。
「ごめんなさいパパさん」とひとり部屋でべそをかくトキ。
あと2回しかないのに、主人公がこんなに落ち込んじゃっていていいのだろうか。
さて、ここでイライザ役のシャーロット・ケイト・フォックスのコメントを紹介しよう。
――高石さんとの共演の感想を教えてください。
あかりさんは私が今まで出会った中で最も明るく、そして喜びにあふれ、とても勤勉な女性の一人だと思います。彼女の仕事への取り組み方には感銘を受けただけでなく、演技をすることへの喜びにあふれている様子にも心を打たれました。この二つを兼ね備えていることは非常に重要です。彼女が自分の仕事を心から愛していることが伝わってきます。それは長くすばらしいキャリアを築いていく人物の証と言えると思います。
――東京編の撮影で、印象的な出来事やシーンを教えてください。
今回2歳の娘を連れて来日しました。撮影中、娘はまだ時差ボケがありグズッていたのですが、皆さんがオモチャをくれたり遊んでくれたりと大変お世話になりました。
池脇さんの内なる光は、今までの経験の輝きが、とても明るく放たれていらっしゃるのだと感じました。スタッフやキャストの皆さんへのお心遣いはとても美しく、すばらしく、朝ドラヒロイン経験者であったこと、納得!でした。
丈役の杉田さんもすばらしい俳優です。彼の深み、もろさ、そして演技力は非常に印象的でした。また一緒にお仕事ができたらと思っています。
――まもなく最終回を迎えます。視聴者の方にメッセージをお願いします。
ご覧いただきまことにありがとうございます!この番組をお届けするために、スタッフとキャストがとても尽力していることを私も知っています。ですから、視聴者の皆さんにこの番組をお届けし、共有できる事をとてもうれしく思っています。
スタッフとキャストの皆さんはきっと疲れていると思いますので、もし街で見かけたら、どうか優しく接してくださいね。すてきな元気を出してもらうために、スイートな言葉をかけてあげるのもいいかもしれませんね♪(スマイル)









