スシロー好調の鍵は
本当に「DX」なのか

 スシローの好調を語るとき、多くの人がまず思い浮かべるのが「DX」でしょう。

 店舗へ足を運んだことがある方なら、タッチパネル注文やセルフ会計など、注文から会計までのスムーズな流れを体験したはずです。

 すると、こう考えたくなります。

「スシローはDXを進め、顧客体験を向上させ、業務も効率化しているから伸びているのだろう」と。

 この見方自体は、決して間違いではありません。

・回転効率の向上は需要を取りこぼさない仕組みをつくる
・店舗オペレーションの標準化はコスト構造を安定させる

 こうした要素が組み合わさることで、たしかに利益は確保しやすくなるでしょう。

 ただ、DXによってコストを削減できたとしても、それ自体が売り上げ拡大につながるわけではありません。それに、タッチパネルやセルフレジは、競合も導入しています。

 だからこそ問うべきは、

「スシローのDXは、コスト削減で終わらず、売り上げにつながる“構造”をどう生み出しているのか」

 という点だと考えます。

 この問いを考える上で有効な手がかりが、サービス・プロフィット・チェーン(以下、SPC)という考え方です。

スシローDXの裏にある
“満足の連鎖”とは?

 SPCとは、従業員満足の向上がサービスの質を高め、その結果として顧客満足と収益の向上につながるという考え方です。

 重要なのは、出発点が「顧客」ではなく「従業員」にあるという点です。

 従業員が「この会社で働いて良かった」と感じられる環境を整えることこそが、全ての始まりだという発想です。

 では、スシローはこのSPCをどう現場に取り入れているのでしょうか。