「うちの子、語彙が少ないのでは?」「自分の意見をちゃんと言えない」……。スマホやSNSの普及により、子どもの「言葉にする力」の衰えを危惧する声が増えています。そんな中、『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』(ダイヤモンド社)等のべストセラーで知られる文章の専門家・山口拓朗氏が、待望のこども版『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』(ダイヤモンド社)を上梓しました。同書は、マンガと「言葉を使ったゲーム」を通じて、子ども(小学校低学年~高学年)が楽しく言語化能力を身につけられる画期的な一冊です。本連載では、本書をベースに親御さん向けの記事として抜粋・編集した記事や、著者による書き下ろし記事で、「子どもの言語化力」を高める秘密を紐解いていきます。

「そりゃ差がつくわ…」できる子の親が必ずしている質問ベスト5Photo: Adobe Stock

「生活言語」と「学習言語」の違いを知る

「生活言語」と「学習言語」という言葉をご存じでしょうか? どちらも、子どもの言語化力を考えるうえで重要な概念です。生活言語とは、日常生活のなかで自然に身につく言葉のことで、「お腹すいた」「寒い」「これ取って」など、身近な状況や感情を伝える言葉を指します。一方、学習言語は、物事を説明したり、理由や関係性を整理したりするための言葉です。「理由」「比較」「結果」「影響」「具体的には」といった言葉がその代表例です。

 生活言語は、家庭での会話や遊びのなかで自然に増えていきます。しかし、学習言語は放っておいても十分に育つとは限りません。たとえば、子どもが「このアニメおもしろかった」と言ったとき、「そうなんだ」で終わらせてしまうと、そこで言葉にする機会は失われてしまいます。「どこがおもしろかったの?」「どんな場面?」と問いかけることで、子どもは自分の感じたことをもう少し詳しく言葉にしようとすます。こうしたやり取りによって、学習言語は育まれていくのです。

 たとえば、「楽しかった」という感想も、「友だちと役割分担して協力した結果、ゲームをクリアできたのが楽しかった」「最後に逆転できたことで、それまでの努力が報われた気がしてうれしかった」というように、理由や具体的な出来事を説明できるようになると、言葉の解像度は一気に高くなります。これは、子どもが生活言語だけでなく、論理的思考を使って、因果関係を表す学習言語を使い始めている状態です。

 家庭でできる具体的な方法として有効なのは、子どもに対して「なぜ?」「どうして?」「具体的には?」といった問いかけを増やすことです。それと同時に、「つまりどういうこと?」「ほかの言い方をするとしたら?」といった質問を重ねると、子どもは自分の考えを整理しながら言葉を選ぶようになります。また、本の内容やニュース、日常の出来事について「どう思う?」と意見を聞くことも、学習言語を育てるよい機会になります。

 日常の会話のなかで、生活言語を学習言語へと少しずつ広げていくこと。その積み重ねによって、子どもは自分の考えや感情をより論理的に言葉で表せるようになっていきます。「生活言語」がほとんどの割合を占めているご家庭であれば、なおのこと「学習言語」を使う機会を増やしていきましょう。

 拙著『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』では、親御さんやお友達と遊ぶだけで説明する習慣がつくゲームも多数紹介しています。

 *本記事は、『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』(ダイヤモンド社刊)の著者山口拓朗氏による書き下ろしです。