ハイデイ日高・神田正会長ハイデイ日高創業者の神田正会長 Photo by Teppei Hori

5坪のラーメン店からスタートし、首都圏を中心に約470店舗を展開するハイデイ日高の創業者である神田正会長は、80歳を超えた今もなお、精力的に経営の最前線に立ち続ける。12歳でゴルフのキャディーのアルバイトをし、中学卒業後、15もの職を転々とし、ゼロから一代で巨大チェーンを築き上げる過程で培ったのが、人を鋭く見抜く「眼」だ。単に仕事ができるだけでなく、組織をまとめ、未来へ導くことができる「役員」の器とは何か。「課長止まり」の人とは、何が違うのか。神田会長は「顔を見ればわかる」「仕事以外の場所で本性が出る」と断言する――。(取材・構成/小倉健一)

12歳で学んだ
「人間観察術」の原点

 私はこれまでの人生で、何万人という従業員や取引先、お客様と接してきました。その中で培った、人を見抜く「眼」の原点はどこにあるのかと問われれば、それは私が小学6年生の頃にさかのぼります。

 私は当時、学校が休みの土日になると、ゴルフ場でキャディーのアルバイトをしていました。アルバイトは中学生以上という決まりがあったのですが、小学生だった私は、年齢を誤魔化して仕事をしていました。

 私の家は、父が戦争で体を悪くして働けず、母がキャディーをして家計を支えているような、村一番の貧乏でした。ですから、私も働くしかなかったのです。名門のゴルフ場でしたから、そこには社会的な地位のある立派な方々がたくさん来ていました。

 私はまだ子どもでしたから、その方々の「人間性」といった難しいことは分かりません。しかし、キャディーとして4時間一緒にコースを回ると、その人の「素」が見えてくるのです。

 プレー中に声をかけて喜ぶ人もいれば、静かにプレーしたい人もいる。スコアが良くて上機嫌なときもあれば、思い通りにいかなくてイライラしているときもある。そういう時の言葉遣いや、私のような子どものキャディーに対する態度で、「この人はどういう人か」が分かってくるのです。