最もやってはいけない対応
機嫌をとる・顔色をうかがう

一番良くない対応は、不機嫌さを出している人に「私が悪いの?」と気を遣ったり、顔色をうかがいながら機嫌が直るように自分が働きかけることです。これは最悪のパターンです。なぜなら、これをすると不機嫌さを外に見せる人は、「自分が不機嫌になってイライラすればするほど、周りが気を遣って動いてくれ、自分にとって都合の良いことが起きる」と学習してしまうからです。

人間は無意識のうちに学習をします。変な行動パターンをとる人は、その行動によって過去に「いい思い」をしてきたからです。だからこそ、自分の態度を隠そうとも、直そうともしません。

人間は、自分の行動によって嫌なことが起きればそれを改めようとしますが、そうならないということは、不機嫌という暴力を振るうことで問題が解決するという「悪い学習」をしてしまっているのです。ですから、絶対にそのような学習をさせてはいけません。相手の機嫌をとるようなことはやめましょう。

毅然とした態度で「悪い学習」を防ぐ

一番大切なのは、そういう人には近寄らないこと、そして不機嫌さを見せても「相手にとって良いことが起きない」状況を作ることです。例えば、他の人や別の上司から、その態度を注意されるのも効果的です。また、家族など身近な人が不機嫌さを表に出す場合は、同じ空間にいないようにしましょう。

リビングで不機嫌になり、周りが顔色をうかがわなければならないような状況なら、不機嫌になった時点でその場から出ます。全く相手にせず、意に介さない態度を貫くなど、それぞれの環境に合わせて工夫するしかありません。

自己肯定感の低さが引き起こすワナに注意

不機嫌さを外に見せることは暴力である、という認識を持っている人はまだ少ないかもしれません。「人間だから感情があるのは当たり前」と思うかもしれませんが、そういう問題ではありません。感情があっても、それをそのまま見せたら周囲への配慮がないと思われますし、見せないように努力するのが人間同士のマナーです。

それができない相手を気遣う必要はありませんし、圧倒的に悪いのは相手の方です。ただ、自己肯定感が低い人、相手に合わせてしまう人、他人軸で生きている人は、「相手が不機嫌なのは私が悪いからだ」と思い込んでしまいがちです。これも誤った関連付け(変な学習)です。

心当たりがある方は、その思考の癖を改める必要があります。あなたが「自分が悪い」と思って行動すればするほど、不機嫌な相手は「この方法がうまくいく」と勘違いし、態度はどんどんエスカレートしてしまいます。

エスカレートさせないためにも、「不機嫌を見せる相手が悪いんだ」としっかり理解してください。そして、それを「暴力」だとお互いに認識した上で、相手にしない、逃げる、第三者に報告するといった対策を徹底してやり抜くしかありません。もし、周りの人の不機嫌さに困っている方がいれば、ぜひこの話を参考にしてみてください。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。