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*本記事はきんざいOnlineからの転載です。
生命保険分野への本格展開は限定的
組み込み型保険は現在、EC(ネット通販)や旅行などの購買導線に付随する、比較的安価でシンプルな損害保険が中心となっている。例えば、「家電やスマートフォンを購入する際、延長保証に加入する」「航空券や宿泊施設を予約する際、旅行保険に加入する」「レンタカーの貸出を受ける際に保険・補償サービスに加入する」といったかたちだ。いずれも補償範囲が明確かつ比較的価格の低い領域から拡大していった。どのケースにも共通して「購買」という明確なトリガーが存在し、そのタイミングでの加入に違和感が少ないことも特徴である。
海外では、例えばオーストラリアのインシュアテック企業であるカバー・ジーニアスは、旅行・EC・チケット販売などのプラットフォームに補償をAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)で組み込み、保険を購入プロセスの一部として機能させてきた。補償はもはや別商品ではなく、「購入体験を滑らかにする部品」となったのである。
しかし、生命保険分野においては事情が異なった。生命保険は、単にリスクを補償する商品ではなく、家族構成や収支、将来設計を踏まえたライフプランニングと密接に結び付いている。説明義務も重く、長期契約である以上、誤販売した際のリカバリーの対応にも難しさがある。ワンクリックで加入する補償型商品とは根本的に性質が異なるのだ。結果として、組み込み型保険の主戦場は損害保険領域にとどまり、生命保険への本格的な展開は限定的であった。







