保険販売は「代理店経由」と「ネット直販」のどちらが儲かるのか?売り上げと三利源の4指標で分析

インターネットでの商取引が今や当たり前の時代だが、いまだ保険業界では代理店経由での保険販売が主流だ。その理由は何か。そこで連載『ダイヤモンド保険ラボ』の本稿では、代理店販売とインターネット経由での保険販売の相違について、売り上げと三利源の4つの観点から分析した。(イオン・アリアンツ生命保険社長 野口俊哉)

生命保険のネット販売は普及せず
代理店経由での保険販売が主流

 「代理店で生命保険を販売するには多額の代理店手数料を含めてお金がかかる。インターネットで代理店を経由せずに販売すれば、人件費や物件費のコストが軽減できる上、申込書の書き損じなどの事務ミスも減るので一石二鳥。インターネットを通じた販売に傾倒すべきだ」

 保険会社で働いていると、生保・損保を問わず昔からよく耳にするセリフである。でも損保はいざ知らず、生保ではネット販売はあまり普及しておらず、代理店経由での販売がいまだに隆盛である。

 そこで、新型コロナ禍以降、Eコマース(電子商取引)が世の中で主流になってきた現在、このテーマを改めて分析したい。

 なお、本記事では、代理店販売とインターネットを通じた販売(以下「ネット販売」)で提供される保険商品が原則として異なるケースが多い損保については言及せず、両販売において一般的に同一保険料の保険商品が提供される生保についてのみ議論する。また、近年はネット系代理店も数多くあるが、話が複雑になるため、ネット販売とはネット系代理店を経由しない保険会社の直扱い契約を意味する。

 次ページでは、代理店販売とネット販売の相違について、売り上げと収益性の面から比較する。また、後者については、危険差損益と利差損益、費差損益の三利源に分解して利益率について比較を行うことで、どちらが優位にあるのか分析した。