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地方銀行で伸び続ける不動産業向けの融資残高に、金融庁が警鐘を鳴らしている。不動産業向け融資残高の割合が高い十数行にヒアリングしたところ、リスク管理面で懸念がある先が見つかったためだ。同庁は早期改善を促す意向で、改善が見られない場合は立ち入り検査も視野に入れる。融資残高の伸びをけん引する不動産業向けの融資にブレーキがかかる契機となるのか。長期連載『金融インサイド』の本稿では、金融庁幹部が語る問題意識を詳報し、地銀の融資姿勢に与える影響を考察する。(ダイヤモンド編集部 高野 豪)
右肩上がりの不動産融資残高
割合多い十数行にヒアリング
金融庁は2月、地方銀行首脳との意見交換の場で、一部の地銀で不動産業向けの融資のリスク管理に関して問題が見られたと指摘した。
これまで同庁は、外貨建て保険や仕組み貸し出し、LBO(レバレッジドバイアウト)など、その時々で問題となっているテーマを絞り、リスク管理態勢の強化を求めてきた。だが、今回のように特定業種向けの融資に対するリスク管理態勢に言及するのはまれだ。
このタイミングで指摘したのはなぜなのか。端緒となったのは、地銀による不動産業向け融資残高の伸びだ。
上の図を見てほしい。全国地方銀行協会の統計によると、地銀(第二地銀を除く)の不動産業向けの融資残高(2025年9月末時点)は前年同期比6.6%増の45兆0192億円。5年前の20年9月末比では32.3%増と、右肩上がりで伸びているのだ。
底堅い国内需要や資材価格の高騰により、東京都を中心に住宅用・商業用の不動産価格は上昇基調にある。ある地銀関係者は、首都圏での不動産業向け融資について「資金ニーズがすぐ出てくるし、圧倒的に案件は多い」と明かす。
金融システムの安定に主眼を置く同庁が、長期間にわたり伸び続ける不動産業向け融資の残高に懸念を抱くのは当然だろう。同庁幹部は「『残高を伸ばすな、抑えろ』というわけではなく、管理が伴った残高なのかが気になっていた」と明かす。
そこで、同庁は融資ポートフォリオに占める不動産業向け融資の割合が高い先など十数行を対象にヒアリングを実施。提出された資料や対話を基に検証したところ、リスク管理態勢の面で改善の余地がある先が複数見つかった。
改善が必要と判断したのは、融資全体のポートフォリオに占める不動産業向け融資の割合について、上限を定めていないというものだ。監督指針で求められているストレステストの内容が不十分なケースなども見つかったという。
次ページでは、金融庁の具体的な指摘事項に加え、その警戒度と問題意識を詳報する。不動産業向け融資の割合が大きい地銀に求めるストレステストのシナリオとは何か。今回の指摘が、地銀の融資姿勢にどのような影響をもたらすのかも考察する。








