相談に来られた冬の夕方、健太さんの顔は土気色で、声はかすれていました。
「ずっとつけられている気がするんです。家の中に盗聴器や隠しカメラが仕掛けられていて、行動を監視されていると思うんです」
健太さんは、この会話も聞かれているのでは?とおびえた様子で続けました。
「半年くらい前から、会社の近くのカフェによくいる女性、自宅の最寄り駅の改札近くに立っている女性、休日に近所のコンビニにいくと店内で鉢合わせする女性、全て同じ女性なんです」
まくし立てるように続けました。
「夜中にインターホンが鳴って出ると誰もいなかったり、玄関マットの下に手の小指の第一関節くらいの小石があったり、非通知着信が毎晩2時~3時に集中する日があったりもするんです!」
気持ち悪くなって引っ越したが…
恐ろしい展開が
健太さんは、さらに音量を上げて「さらに恐ろしかったのは、最近になって気持ち悪くなって引っ越したんですが、最寄り駅でまた同じ女性が立っていたんです!誰にも住所を教えていないのに、どうしてわかるんですか?」
私はすぐに「これはストーカー被害の典型パターン」と判断しました。
何かしらの方法で監視されているはずです。その日のうちに健太さんの自宅を徹底的に調べることにしました。
「引っ越し時の荷物に紛れて盗聴器や盗撮カメラが仕掛けられている可能性もあります。探しましょう」
健太さんの1Kマンションに入った瞬間、私は息をのみました。
狭い部屋なのに、恐怖が空気のように充満しているのが伝わってきました。
私は盗聴器探知機とカメラ検知器を手に、持ってきた荷物や壁、天井、照明器具、コンセント、エアコン、ベッドの下、クローゼット、トイレの換気扇、カーテンの裏、本棚の隙間など、ありとあらゆる場所を1ミリも残さず調べました。
3時間近くかけて、徹底的に調べた結果、何も見つかりませんでした。
「ないんですか?本当に何もないんですか?」
健太さんは放心状態でつぶやきました。
「じゃあ、僕の妄想だったってことですか?」







