私は首を振りながら言いました。

「いや、まだ何かあるはずです。今日はいったん様子を見てみましょう。私はマンションに不審な人物の出入りがないか、車から見張ります」

ベテラン探偵も
背筋が凍った

 その夜、午前2時を過ぎた頃、健太さんのスマホに登録されていない番号からショートメッセージが届きました。

「今日、家の中を3時間も探してたね。お友達?もしかして探偵さん?でも、何も見つからなかったでしょ?これからも、ずっと見ててあげるから安心してね」

 さらに送られてきた画像は、盗聴器を探している私と健太さんの姿を撮影した写真でした。

 角度は部屋の外から窓越しに撮ったもの。まだカーテンが取り付けられていなかったのもあり、私の顔がはっきり写っていました。

 私は背筋が凍りました。

 健太さんは押し殺した声で「このストーカーは、僕をずっと監視している」とつぶやきました。

 私には、この時点で監視している方法は全くわかりませんでしたが、判別する方法を考えて提案しました。

「盗聴や盗撮の可能性はなさそうです。でも、まだ他の手段が分かっていません。いったん、実家に戻って様子を見てみましょう。そこなら安全です」

 健太さんはうなずき、「そうします。幸い会社へも通勤範囲内ですので」と言って、すぐに着替えや手荷物をまとめて車で1時間ほど離れている実家へ向かいました。

 私は念のため、追尾している車がないか確認しながら健太さんの後を追いました。

 万全を期して実家まで20分くらいになった頃から距離を離して、健太さんから遅れること30分くらいの深夜2時過ぎくらいに到着しました。

 私は実家の付近を確認しましたが、不審な車両や人影は見当たりませんでした。引き続き監視すべく、実家から200メートルほど離れた場所に停車しました。多少の遮蔽物があり、全体像は見えませんが、車の出入りは確認できる状態で監視しました。

 その後30分ほどして健太さんから電話があり、「今から転送するメッセージを見てください!」と言って電話を切り、送られてきたメッセージを見てみるとただ一言「そこが実家なのね」