がんばっているのにうまくいかない。同じ失敗を繰り返して落ち込む。そのうちに「自分はダメ人間なんだ」と自信がなくなっていく――書籍『私たちはなぜ「やるべきこと」をやれないのか、「やめたいこと」をやめられないのか』(キム・ソクチェ著/岡崎暢子訳)は、神経内科専門医として脳科学分野の第一線で活躍する著者が、「自分の感情や欲望に振り回されずに生きる方法」を、脳科学・心理学・哲学の視点からわかりやすく解説した一冊です。本記事では本書の発売を記念して、その内容を一部抜粋・再編集して紹介します。

つい自分を責めてしまう人が、自分を許せるようになる「心の切り替えスイッチ」とは?Photo: Adobe Stock

「また失敗! 自分はなんてダメ人間なんだ」

 計画通りにいかなかったとか、ルーティンが崩れてしまったときの第一声は、決まって「ああ、またか」といったところでしょう。

 しかし、その失敗以上に心を傷つけるのは、あとから押し寄せる「やっぱり私はダメだ」という「自己非難」です。

 こうした自己非難から抜け出すには、まずその仕組みを理解する必要があります。

 驚くべきことに、自己非難は心理的な習慣であり、「自分を律しようとする行動」でもあるのです。

自分を責めるほど、自尊感情が低下していく

 しかし心理学的に見ると、自己非難は失敗を避けるどころか、むしろ固定化してしまう働きがある行為です。

 自分を責めることで責任を果たしているように見えても、実際には行動改善にもつながりません。

 さらに、自己非難を繰り返すほど自尊感情はみるみる低下し、もう一度がんばろうという気持ちにも、ブレーキがかかってしまいます。

「自分はこの程度の人間だ」と思い込んでしまう

 もっと問題なのは、自己非難が、現実を変えることへの恐れを覆い隠し、「変わらなくてもいい」「責任を取らなくてもいい」という言い訳として機能することです。

 そしてこうした認知の歪みが、失敗を教訓にすることなく「自分はこの程度の人間だ」という自己概念を固定させ、学びと成長を妨げるのです。

 失敗の繰り返しより怖いのは、こうした「失敗を自分と同一視してしまうこと」のほうです。

自己非難をしなくなる方法:「私はダメな人間だ」→「この方法は合わなかった」

 自己非難から卒業するための第一歩は、失敗を「行動の問題」として捉える練習です。

「私はダメな人間だ」ではなく「この方法は合わなかった」と言い換えてみる。

 本当に自分を理解し管理するためには、アイデンティティーではなく「戦略」を変えることが大切なのです。

(本稿は『私たちはなぜ「やるべきこと」をやれないのか、「やめたいこと」をやめられないのか』から一部抜粋・再編集した記事です)