「だ・か・ら!」と突然キレる客、火に油を注ぐ“最初のひと言”とは?
穏やかに話していたお客さまが途中で突然キレるのは、対応が自分の期待を裏切ったと感じるから。そんなときは、相手の怒りの強さに合わせて謝り、怒った理由を聞き取り、その不満をまず肯定することが、興奮をしずめて対話を立て直すポイントだ。
そこで参考にしたいのが、接客現場での「とっさの対応のコツ」をまとめた一冊『クレームは「最初の30秒」で9割解決 クレーム対応 最強の話しかた[完全版]』(ダイヤモンド社刊)です。今回は、同書から特別に抜粋・再編集し、突然キレるお客さまへの対応方法を紹介します。(文:山下由美)

「だ・か・ら!」と突然キレる客、火に油を注ぐ“最初のひと言”とは?Photo: Adobe Stock

「だ・か・ら!」と突然キレる客、火に油を注ぐ“最初のひと言”とは?

 最初は落ち着いて話していたのに、会話の途中で「だ・か・ら!さっきから言っているだろ!」といったように、突然、激昂するタイプのお客さまがいます。態度が豹変するため、何が起きたのかわからず、戸惑ってしまいますよね。

 人は常に、自分なりの未来のストーリーを描いています。それが、心のどこかで「自分の思いどおりに対応してもらえるはず」という期待になります。その期待が裏切られたと感じた瞬間、怒りのスイッチが入り、感情が一気に噴き出します。

 スイッチが入るきっかけはさまざまですが、共通しているのは、早い段階で「そうなんです」を引き出せていないことです。そのうえで、「説明が言い訳に聞こえた」「たらい回しにされたと感じた」「専門用語を使われ、突き放された気がした」といった、対話中の小さなズレが引き金となり、怒りが爆発します。

「キレた瞬間」から立て直すための3つの対応手順

 こうしたお客さまに対応するポイントは、「キレた瞬間の初動」「キレた理由(スイッチ)の把握」「キレた理由の肯定」の3点です。

【手順①】即座に、大声で謝る(ペーシング)

 怒鳴られたときに萎縮して小声で、「あっ、申し訳ございません……」と謝ったり、冷静さを装って淡々と話したりするのは逆効果です。相手に「自分の怒りをわかっていない」と受け取られ、さらにヒートアップしやすくなります。

 相手の怒りのエネルギー(声の大きさ・強さ)に合わせて、「ご不快な思いをさせてしまい、大変申し訳ございません!」と、こちらも大きな声ではっきりと謝罪します。ここでの謝罪は、こちらの非を全面的に認めるものではありません。相手を不快にさせてしまったという事実に対してのみ行います。

【手順②】キレた理由(スイッチ)を聞き逃さない

 大きな声で謝罪すると、相手は「なぜキレたのか」を言葉にし始めます。

「さっきも言っただろ!何度同じことを言わせるんだ!!」
「普通はすぐ交換してくれるもんだろう!」

 このひと言こそが、相手が求めている「答え」であり、キレた理由の核心です。ここを取り違えると、いくら謝っても噛み合いません。聞き逃さないようにしましょう。

【手順③】キレた理由を肯定する謝罪で、「そうなんだよ」を引き出す

 相手が口にしたキレた理由に対して、まず「そう思われるのは当然です」と肯定します。ここでは言い訳は一切しません。

 お客さまから「何度も言わせるな!」と言われたとしたら、「おっしゃるとおりです。何度もお手間を取らせてしまい、本当に申し訳ございません!」と、ペーシングしながら謝罪します。

 すると、「……そうだよ!急いでいるんだよ!」といった肯定の言葉が高い確率で返ってきます。この瞬間から、怒りが「攻撃」から「困り事」へと変わり、相手の興奮は少しずつ鎮まり始めます。

 なお、謝罪の言葉選びや言い回しには慎重を期す必要があります。たとえば、「ご要望にお応えできず」と謝ってしまうと、相手には拒絶されたように聞こえ、「そうだよ」を引き出す会話として成立しません。「検討もせずに突っぱねるのか!」と、さらなる怒りを買う恐れすらあります。

 一方、わずかな違いですが、「ご要望にお応えできておらず」とすれば、「今はできていない=まだ未来がある」という現状を認める言葉になり、「そうだよ」を引き出せます。

キレる前の予兆を察知したら、先手を打つ

 以上のように、突然キレるお客さまには、怒りのスイッチが入った瞬間に、相手と同じテンションで謝り、キレた理由をつかんで、即座に肯定することがポイントです。暴発した怒りのガス抜きをして、再び対話できる状態へと戻します。

 なお、慣れてくると、「表情が険しくなる」「貧乏ゆすりを始める」など、キレる予兆に気づくことがあります。そうしたサインを察知したら、相手がキレる前に「そうだよ」と言ってもらえる言葉をかけて、こちらを敵から味方に変えましょう。

*この記事は、『クレームは「最初の30秒」で9割解決 クレーム対応 最強の話しかた[完全版]』(ダイヤモンド社刊)を再編集したものです。