カスハラ写真はイメージです Photo:PIXTA

クレーム対応は初動が肝心。クレームの内容によっては、スタッフひとりではなく、チームでの対応が必要になるケースも少なくない。ここでは、不当な要求をしてくる客から、怒鳴られたり、暴言を吐かれたりした際の適切な対応方法を紹介する。その場しのぎで相手に共感することなく、冷静な対応でクレームをおさめよう。※本稿は、津田卓也氏『カスハラ、悪意クレームなど ハードクレームから従業員・組織を守る本』(あさ出版)の一部を抜粋・編集したものです。

クレーム対応に近道なし!
シミュレーションあるのみ

 本稿では、実際に現場でよく発生するハードクレームの適切な対応方法をお伝えしていきます。

 それぞれのシーンについて、対応する際のポイントと切り返しフレーズをご紹介しています。

「自分の職場だったらこんなお客様が来て、こういった形のクレームになるだろうな」などと、ご自身の就業環境に引きつけてイメージしながら、読み進めてください。

 クレームは突発的に起きる上に、多種多様なため、いくらクレーム対応の方法について勉強し、研修を受けていても、なかなか上手に対応ができないというご相談を受けることは少なくありません。

 相手が冷静な状態ではないため、平静を保つのは容易ではないでしょう。

 それでも、クレーム対応は初動が肝心ですから、落ち着いて対応することが必要です。

 こういうケースでは、どう対応すれば良いかを何度も繰り返してフレーズと共にシミュレーションすることで、実際にクレームが起きて、シミュレーション通り対応していくうちに、だんだんと落ち着くことができます。

 クレーム対応に近道なし。

 まずは、シミュレーションあるのみです。

クレーム対応シミュレーション
CASE1【怒鳴られ、暴言を吐かれた】
 クレーム対応の途中で、お客様が急に怒り出してしまいました。
 周りにいる他のお客様もびっくりするような大声を出され、こちらが必死でなだめようとしても、「お前じゃ話にならない」「馬鹿野郎!」「常識がないやつだ!」などと暴言を繰り返し、収まる気配がありません。

NG対応例
 萎縮して、怒鳴り声をただ浴び続ける状態になる。

 相手は「自分の主張が正しい」と勘違いして怒りに拍車を掛けてしまう。

 自分の要求を通そうとして、従業員に暴言を吐いたり怒鳴ったりするお客様が増加しています。

 大声で怒鳴っているからといってすぐに「これはハードクレームだ」と判断してしまうのは危険ですが、暴言の内容が度を越している場合には、ハードクレームとして対応するしかありません。チームでの対応を原則として、スタッフ1人だけで対応しない・させないようにしましょう。