あるいは変化球としては、僕がやっているこんなつかみもあります。

「突然ですが、1024と聞いて“切りのいい数字だな”とパッと思った方、どのくらいいらっしゃいますか?」

 そういって挙手してもらい、「いま手を挙げた方、エンジニアですよね?16の倍数ってすごく落ち着きますよね。僕なんか、おつりで512円もらうと、おっ今日はいいことあるな!って思いますもん」と投げかけます。

 するとドッと会場が盛り上がるのですが、エンジニアの人たちには「この人は俺たちの仲間だ」という共通認識ができるし、非エンジニアの人たちは、「1024が切りがいいなんてそんなバカな!でも16の倍数ってそんなに技術畑の人は好きなんだな」という驚きに包まれるわけです。

 最初に意外性を持たせた後に、「なるほど」という納得や共感へ導く――この「ギャップ」をつくるフックが魅惑的なストーリー構成の第一歩です。

導入部で話すネタ選びは
本論とのつながりが必須

 続いて、聞き手を引きつける導入部のつくり方を見ていきます。

 近年、僕は様々な企業から「DX推進」をテーマにした講演依頼をよく受けます。そこではみなさんにDX推進に必要なマインドセットについて解説するのですが、冒頭からDX自体について説明することはありません。

 まず会場のみなさんに、「Web3.0って知っていますか?」といって手を挙げてもらっています。手はちらほら挙がるものの、「なんでも聞いて!」という表情をしている人はほぼいません。そこで「では、ここにいない人にドヤ顔で話せるようにぜひ覚えてくださいね」といって、Web3.0に関する基礎知識から話しはじめます。

 つまり、「誰かに話せるネタ」を話の導入部で手渡すのです。聞き手にとっては土産話になり知識欲も満たせるため、それだけで話への注意力が増すのです。この場合なら、具体的には、Web3.0以前の説明も含めてすべて、ビジネスでドヤ顔で話せるネタとなります。

 プレゼン前は、「DX推進ってなんだか難しそうだな(面倒だな)」と思っていたはずですが、集中力の高い段階で、話の本質に直結する面白い知識を手渡されたことで、続くストーリーに対する期待感が高まるのです。