「たとえ話」を使うことで
話の内容は具体化する

 さて、これらをそのままの形で説明しても、聞き手の属性や業種業態によって理解度はまちまちになります。概念の話を難しく感じる人もいるでしょうし、説明を聞いてもいまひとつイメージが湧きにくいかもしれません。

 そこで、共通認識をつくる「たとえ話」の出番です。ここでは、経営3層構造を、誰もがイメージできる「スポーツカーづくり」にたとえてみます

 まず、(1)の企業戦略の観点では、スポーツカーの社会貢献の方法は、「顧客がスポーティーに楽しく走れること」でしょう。ただ速く走ればいいものではなく、スポーティーかつ優雅に、そして楽しく走れなければなりません。そうしたスポーツカー本来のあり方と、それをつくる旗を掲げるのが経営層の仕事です。

 次に、(2)の事業戦略の観点では、スポーツカーはあくまで自動車ですから、走ったり、曲がったり、止まったりする行為が、スポーティーかつ「安全な状態」で機能する必要があります。これを実現するのがマネージャー層です。組織では担当する部門や部署が分かれているため、各部門や部署と連携しながら事業を運営し、(1)のミッションを実現していきます。

 そして、(3)の機能戦略の観点では、パワフルな加速を可能にするエンジンをどう設計するか、高速走行安定性をどう実現するか、コーナーグリップをどう設定するか、タイヤはどうするかといった、細かく具体的な各タスクを実行します。これがプレイヤー層の仕事です。

 いかがでしょうか?経営3層構造の各要素をスポーツカーで説明することで、一気に具体的にイメージしやすくなったかと思います。

 経営層は社会のニーズとビジネスの接点を見る仕事、マネージャー層は事業の仕組みや組織の内部構造を見る仕事、プレイヤー層は現場(製造現場や顧客の反応)を見る仕事という本質がわかります。

 抽象的な概念も、スポーツカーというたとえ話で具体化することで、聞き手はビジュアルを思い浮かべながら、より直感的に話を理解できるのです。

マネージャー層の役割は
足し算を掛け算に変えること

 ここからマネージャー層の役割について掘り下げていきます。

 上の階層で決めた方向性が下の階層に降りてきて実行され、その一方で下の階層の工夫や成果が上の階層にフィードバックされる構造のなかで、企業の経営・事業活動において最も重要でかつボトルネックにもなりやすいのが中間のマネージャー層であることを指摘します。