なぜならマネージャー層は、会社が目指す姿を下の階層に浸透させ、また現場の知見や具体的なディテールを上の階層へ正しく伝える必要がある、経営層とプレイヤー層をつなぐ通訳のような仕事だからです。
では、双方の思考を理解するマネージャー層がうまく機能しなければ、なにが起こってしまうのか?それもスポーツカーにたとえて説明します。
マネージャー層が機能せず、現場の技術者の論理ばかりを優先してしまうと、「様々なオプション装備など最新機能をてんこ盛りにした、楽しく走れないスポーツカーがつくられてしまう」
あるいは、利益追求の経営者の論理ばかりを優先してしまうと、「高速で楽しく走れて見た目はいいけれど、コスパ優先で基本性能(安全性など)が低いスポーツカーがつくられてしまう」
すると、マネージャーの仕事は、(1)の「スポーティーに楽しく走れる」という社会貢献(企業戦略)をベースに、(3)の最新性能を「安全性」を犠牲にすることなく盛り込み、ユーザーが買いやすい値段で開発する、という本質がクリアに見えてきます。
『The Giver 人を動かす方程式』(澤円、文藝春秋)
さらにマネージャー層は上下の階層だけでなく、横にいるマネージャー同士と調整する役割も担います。走行性能担当のマネージャーが、「とにかく加速性能が高くてパワフルに走れることが最優先だ!」と突っ走ると、不安定なスポーツカーがつくられてしまうので、そのときは、安全性担当のマネージャーが連携する必要があるでしょう。
個々のロジックや主張を「足し算」してもぶつかり合うだけなので、建設的に「掛け算」して、最終的に素晴らしいスポーツカーを生み出せるよう調整することがゴールとなるわけです。
このようにたとえ話でマネージャーの本質を理解すると、ドラッカー風に言うなら「マネージャーとは、個の足し算をチームの掛け算に変える触媒である」という「抽象化」もできるでしょう。
たとえ話と抽象化は、このように非常に密接な関係にあります。







