故に、日本版DOGEが、米国DOGEと同様の方法で外注費用や補助金の削減に取り組んでも、実際のコスト削減につなげることは困難であろう。
このため、日本における現実的な方法は、契約中の案件を即時に解除するという現状変更ではなく、来年度以降の予算をつけないという形での将来的なコスト削減となる。より柔軟な対応を実現する観点からは、一定の場合に政府による契約終了を行い得る法的手段を整備することも、一考に値する。
また、こうした漸進的なコスト削減には、注意すべき落とし穴がある。即時の執行停止とは異なり、次年度予算の編成には長い折衝期間が存在するため、その間に省庁側が廃止対象となった事業の看板を架け替え、費目名や管轄を微妙に変えて次年度予算に紛れ込ませる「看板の架け替え」の時間的猶予を与えてしまうことだ。
支出の流れの見える化が
予算の架け替えを防ぐ
そこから導かれる第二の教訓は、予算執行状況の徹底した可視化により「看板の架け替え」を許さない動的な追跡を確立することである。
DOGEが残した最大の功績は、支出データの完全公開である。結果はともかく、「誰が、何に、いくら使っているか」を国民がリアルタイムで監視できる状態を作ったことの意義は大きい。
日本の行政事業レビューも一定の成果を挙げてはいるが、現在のデータ基盤には大きな欠陥がある。それは、国家全体の「総予算」と個別の「事業」、さらにその先の「内訳(契約先・受給者)」を突合し、ドリルダウン(掘り下げ)する機能が欠如している点だ。データが散在しているため、特定の政策目的や企業に省庁横断で合計してどの程度の予算が使われているのかが即座に把握できないのである。
そのため日本版DOGEでは、国と地方の全支出データを統一フォーマットで可視化し、ドリルダウンを可能にする「日本版ガバメント・ダッシュボード」を構築することが望ましい。
特定の政策目的、あるいは外注先や補助金受給先への配分が全体予算の中でどれだけを占めるかが明確になれば、費目名を変えて予算を温存しようとする「看板の架け替え」は、データの上で容易に検知され、実行困難となるはずだ。







