実行力を持った人間を
トップに登用できるか?

 第三の教訓は、「異能の外部人材」を登用し、守ることである。

 DOGEの推進力は、イーロン・マスク、スティーヴ・デイヴィスのようなシリコンバレーのハッカー文化を持つ外部人材にあった。彼らは行政の不文律を無視できたからこそ、破壊的な改革を実行することができた。

書影『政府破綻』(一般財団法人ネクストジャパン・イニシアティブ、新潮社)『政府破綻』(一般財団法人ネクストジャパン・イニシアティブ、新潮社)

 日本版DOGEにおいても、民間登用は必須と考えられるが、従来のような「審議会の有識者」として意見を述べるだけの立場では不十分だ。コードを書き、データを分析し、実務を執行する権限を持った「実務者」かつ「決定権者」として、然るべき民間人材を内部に迎え入れる必要がある。同時に、彼らを既存の官僚機構の論理やバッシングから守る防波堤の役割を、政治家が担わねばならない。

 米国ではマスクとトランプ大統領という大きな盾があった。日本でも、総理あるいは担当大臣が現場のハレーションを引き受ける覚悟を持てるかが問われる。

 米国DOGEの実験という反面教師が示したのは、破壊的なショック療法だけでは持続可能な行政改革は成し得ないという現実だ。日本版DOGEが目指すべきなのは、革新的で持続可能な改革による「小さくて大きな政府」の実現である。一過性のパフォーマンスに終わらせず、テクノロジーと法を武器に行政のOSを根本から書き換えることこそが、日本が歩むべき改革の本道であろう。