マッチ600箱4銭も安すぎないか
それにしても、第2週で出産はかなり展開が早い。朝ドラで子どもが生まれるのはたいてい折り返し以降である。『私の青空』は結婚式の当日に夫になるはずだった人(筒井道隆)が失踪し、その後、妊娠していたことがわかり、シングルマザーの奮闘物語となる。昨年亡くなった内館牧子さんの脚本だった。
その頃、東京府で直美(上坂樹里)は何をしているのか。ドラマ内では、りんと直美の場面を交互に見せている。
直美はなんとか就職先を見つけた。だが、給料を安く叩かれた。たった2銭。前は600箱4銭だったのにと不満を言う直美。ちなみに当時、マッチ1包分(10個入)は2銭5厘、おまんじゅうが1個1銭。定期預金利息は6カ月で4分3厘9毛(いずれも朝日新聞社「明治大正昭和値段史年表」より)。
「泥棒女」だからと見下されている直美。泥棒なんてしていないのに。こういうときは、英語で悪口を言うのが直美のガス抜き。相手は英語がわからないからひどいことを言っても理解できない。優越感に浸れる唯一の方法だ。
マッチ工場で泥棒はしていなかった直美だが、第2回、東京でスリにあった美津と安を助けたとき、スリするなら金持ちから盗めと言って、美津に「金持ちから盗めというのも間違いです」とたしなめられていた(「こんな田舎者の弱い女から情ない」と言われ「田舎者」にカチンと来ての言葉)。
直美のキャラ設定は「目的のためには多少のうそやズルをもいとわない柔軟さとしたたかさがある」。
自分が生きるためならお金を持っていて悪そうな人だったら盗んでもいいと思っているんじゃないだろうか。そういう考え方がたぶん、美津の娘で生真面目なりんとは対照的なのだろう。早く出会わないかなあ。展開は早いのに、出会いは遅い。









