発達障害の診断で「落胆する人」と「スッと心が軽くなる人」の決定的な違い
誰にでも、悩みや不安は尽きないもの。とくに寝る前、ふと嫌な出来事を思い出して眠れなくなることはありませんか。そんなときに心の支えになるのが、『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)。ゲイであることのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症――深い苦しみを経てたどり着いた、自分らしさに裏打ちされた説得力ある言葉の数々。心が沈んだとき、そっと寄り添い、優しい言葉で気持ちを軽くしてくれる“言葉の精神安定剤”。読めばスッと気分が晴れ、今日一日を少しラクに過ごせるはずです。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局・斎藤順)

【精神科医が教える】発達障害と診断されたら、病名より先に目を向けるべきことPhoto: Adobe Stock

発達障害という診断の捉え方

昨今、大人の発達障害の診断を受ける機会が増えています。精神科の外来でも、「自分が発達障害ではないか」と検査を希望される方が少なくありません。

しかし、発達障害と一言で言っても、その状態や状況は非常に幅広く、千差万別です。同じ診断を受けた方であっても、実際の特性や困りごとは人によってまったく異なるため、一概に「発達障害だからこうである」と断定することはできません。

「障害」という言葉のニュアンス

「発達障害」における「障害」という言葉は、英語の「Disorder」をそのまま翻訳したものです。言葉の印象が強いため、人によっては深刻なショックを受けることがあります。

しかし、医療的な観点からの実態は、「脳の特性による偏りが著しく、できることとできないことの差が激しいために、日常生活で困りごとが生じている」という状態を指します。「困難が生じているため、医療的にサポートをしていきましょう」というニュアンスで捉えるのが実態に最も近いと言えます。

診断に対するショックと受容の過程

頭では理解できても、実際に「発達障害です」と診断されれば、ショックを受け、事実から目を背けたくなるのは当然の反応です。しかし、最初はショックを受けていたとしても、時間が経つにつれて少しずつ心境が変化したり、自分なりに調べたりしながら、自分の中で事実を咀嚼していくものです。

このゆっくりとした心の変化も、大切な治療過程の一部です。無理に受け入れさせようとするのではなく、時間が解決してくれる部分もあると捉えることが大切です。

主治医の役割と周囲のサポート

ご本人が診断を受け入れられず悩んでいる場合、周囲の人はどのように接すればよいのでしょうか。周囲の方が直接説得しようとするよりも、主治医から改めて説明してもらうのが最も効果的です。

精神科医の本来の仕事は診断と治療ですが、患者さんにうまく説明し、納得して治療に取り組んでもらうことも立派な主治医の責務です。もし医師からの説明が不足していると感じた場合は、「本人がショックを受けているようなので、うまく説明してもらえませんか」と医師に相談してみるのも良いでしょう。

また、「ある精神科医がこう言っていた」「本にこう書いてあった」と、第三者の客観的な意見として伝えることで、ご本人が冷静に受け止めやすくなることもあります。

病名ではなく「困りごと」に焦点を当てる

最も大切なのは、「発達障害」という病名やレッテルにこだわることではありません。「現在、何に困っているのか」「どうすればもっと楽に生きられるのか」という具体的な部分です。

誰の人生にも、できることとできないこと、そして困難が存在します。その一要素が、たまたま医療的な診断基準を満たす「発達障害」という特性だったに過ぎません。

「発達障害という特性に入りますよ」と診断されたということは、裏を返せば「その困りごとに対する具体的なやり方やサポートが存在する」ということが分かったという、非常に前向きな側面でもあります。病名にとらわれるのではなく、「あなたの困りごとをうまく解決する方法があるから、一緒にやっていこう」という観点で向き合っていくことが、何よりも重要です。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。