トランプの大誤算…イラン攻撃で原油高騰「6月までに沈静化したい」切実な事情とは?【池上彰・増田ユリヤ】2026年3月24日、米ワシントンのホワイトハウスで演説するドナルド・トランプ米大統領 Photo:EPA=JIJI

ベネズエラで成功するも
イランの政権は転覆できず

増田 米国とイスラエルがイランを攻撃し、イランもイスラエルや中東全土の米軍基地などに反撃を加えています。2月28日に始まった米国・イスラエルの軍事作戦により、イランの最高指導者であるアリ・ハメネイ師が殺害され、息子であるモジタバ・ハメネイ師がその座に就きました。しかしイランは攻勢を続けていて、ホルムズ海峡を事実上封鎖しています。

池上 イスラエルのネタニヤフ首相が「今ならイランの体制を打倒できる」などとささやいて、トランプ米大統領もその口車に乗ったのでしょう。年始早々に実行したベネズエラのマドゥロ大統領の拘束が電撃的に成功したので、その成功体験もあると思います。

増田 確かにイランにはハメネイ師の強権的なイスラム統治体制に反発していた人もいたでしょうが、都市部と地方では人々の考え方も異なります。外から関与すれば民衆が蜂起してすぐに政権が転覆する、とはならないのが実情でしょう。

「ホルムズ海峡の完全封鎖」は
ハッタリではない

池上 歴史を振り返れば、1979年にイラン・イスラム革命が勃発し、これを機に親米国家だったイランは反米へと転じました。当時の革命勢力には、イスラム主義者のほか、共産主義者、民主主義者、民族主義者など多様な思想を持つ人々が混在していたため、王政打倒後の主導権争いは激化し、国内は大きな混乱に陥りました。それを見た隣国イラクのフセイン大統領がイランに攻め込んだわけです。しかし、イランはこれによって一致団結し、戦争は8年にわたりました。

増田 今回も同様のことが起きる可能性がありますね。