環境のせいにしない…
リクルート創業者の逸話

 何をもって他責かどうかを判断するのは、難しい側面があります。

 転職理由として会社の方針変更や経済情勢の変化による業績の悪化など、個人ではどうしようもないことをあげる人は少なくありません。

「新型コロナショックで事業が大打撃を受けた」
「リーマンショックを受けて会社が事業を縮小した」

 企業の業績は外部の経営環境に左右されやすいので、ポジションが上になればなるほど、失敗した経験になるとこうした話が出てきやすくなります。これ自体は何ら問題ありません。問題はその後です。

「とはいえ、大打撃を受けたのは事業にこんな構造的な問題があったため」
「だから、こういうアクションをとり、こんな結果になった」

 このように自責的に失敗を分析する視点があり、それを起点にアクションを起こしたかどうか。ここに大きな分かれ道があります。

 自責の視点で反省する人は、その後に取る改善の動きが速いです。逆に外部環境のせいにするだけで何もしなかった人は他責的な傾向が強いかも、という疑いが生じます。

 就職情報誌を成功させたリクルート創業者の江副浩正さんが畑違いの住宅情報誌に参入しました。不景気になると就職情報誌の厚さは薄くなるが、住宅価格が下がって家が売れるようになるからと言ったという逸話があります。

 確かに、ビジネスは景気や経営環境の影響を受けます。しかし、経営者は何があっても事業を存続していかなければいけないので、いかに生き残るかを必死に考えて手を打っていきます。

 経営者並みとはいいませんが、自分たちの事業の弱さを景気のせいにして立ち止まるのではなく、それぞれの立場で自分ができることを模索して、前に進めるかどうかが非常に重要です。

「自責」の人は
話のインパクトが違う

 若手や中堅層でも周囲のせいにして立ち止まらず、一生懸命打ち手を考えてアクションしているかどうかで評価は大きく変わります。

 たとえば営業を担当している商品がトラブル続きで、その原因がシステムにあった場合。それは一営業担当者にはどうしようもありません。

しかし、問題解決のための働きかけをシステム部門に行うなど、自分の立場でできることはあるでしょう。

 どうしようもなさそうなことに対し、そうしたアクションをしたかどうかを質問すると、残念ながらあいまいな回答をする人が多いです。そこからは「受け身」な姿勢で当事者意識の薄さが透けて見えます。

 受け身の姿勢でいると、自覚がないまま他責に陥りやすくなります。「商品に問題があるんだから仕方がない」と思考停止するのではなく、「よい商品をお客様にお届けしたい」との発想に立って、それぞれの立場でできる努力をしていくことが大切です。

 受け身で仕事をしている人は、達成した成果について質問しても「特別なことはしていません。やるべきことをやっただけです」ということが多い。

たまたまマーケットやお客様に恵まれてその成果が出たから、そういう回答になるのでしょう。真面目ではあるかもしれませんが、話にインパクトはありません。

 自分の意志を持ち、創意工夫して成果を出した人は、具体的にどんなことを考えてどんなアクションを行っていったのかを生き生きと話すので、話の面白さもインパクトも受け身の人とは大きく異なります。

 受け身とは逆に、自分のキャリアへの関心が過剰な人、いわゆる「意識高い系」の人も注意が必要です。自分のキャリアにしか関心がなく損得勘定で動くためか、問題が生じたときに責任逃れの傾向が強い人が目立ちます。過剰なキャリア意識は修正すべきでしょう。

「自責」の姿勢が重要でも
ときに「他責」が必要となる理由

 ネガティブな出来事が自分の身にふりかかったとき、立ち止まったままフリーズしてしまうような人は、これだけ変化の激しい時代にビジネス社会を生き抜いていくのが難しくなります。自分が生き延びていくという観点でも、他責的な姿勢からは脱却しなければいけません。

 人間には自己防衛本能があるので、放っておくと自ずと他責になりがちです。だから、意識的に自責の姿勢を持って、一生懸命仕事に取り組まなければなりません。

 ただし、100%自責の姿勢である程度やってみて、どうにもならなかったら「これは仕方がない」「環境が悪い!」と言って諦めることも大切だと思います。

 本当に実力や才能がある人は突き詰めていって突破口を開くかもしれませんが、世の中の全員が卓越した実力者というわけではないし、突破口にたどり着く前に心身が壊れてしまったら元も子もありません。

 その意味では適度に他責であることもまた必要、といえるでしょう。

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