永守ニデック 最終審判#13Photo:JIJI

ニデックの不正会計を巡る第三者委員会報告は、創業者の永守重信氏が直接、会計不正を指示・主導した事実は確認されなかったとした。一方で、永守氏による意思決定への関与は多くの場面で認定している。過去の不正会計問題では、オリンパスで経営陣が逮捕され刑事事件に発展した例があるが、東芝では経営陣の刑事告発は見送られた。では、ニデックの場合、永守氏を含む経営陣の法的責任はどこまで問われるのか。特集『永守ニデック 最終審判』の#13で、関係者による取材を基にその実態に迫る。(ダイヤモンド編集部 村井令二)

東芝では旧経営陣の刑事告発を断念
ニデック永守氏の刑事責任は問えるのか

「東芝よりかなり悪質だ」――。

 証券取引等監視委員会の事務局長などを務めた金融庁OBの佐々木清隆・一橋大学大学院客員教授は、3月3日に公表されたニデックの第三者委員会の調査報告書について、こう厳しく評価した。

 佐々木氏は、東芝が2015年に不正会計問題で第三者委員会報告書を公表した当時、証券監視委の事務局長を務めていた。同年12月には、東芝に対して有価証券報告書の虚偽記載を理由に、当時として過去最大となる73億円超の課徴金を金融庁に勧告した。

 その後、証券監視委は東芝の歴代3社長の刑事責任を視野に入れて調査を進めた。悪質・重大な事案を追及する「特別調査課」が2年以上にわたり調査したが、最終的に証拠が十分に揃わず、個人の刑事告発は断念するに至った。

 ではニデックではどうか。

 今回の第三者委員会報告書は、永守重信氏が掲げた営業利益目標の達成に向けた強いプレッシャーの下、事業部門やグループ子会社で不正な会計処理が行われていたと指摘する。

 もっとも、この意思決定の構図自体は、東芝と共通している。東芝でも、旧経営陣が「チャレンジ」と称して高い目標を課し、そのプレッシャーを受けた各事業部門で不正会計が行われた実態が認定されている。

 今後、ニデックの不正会計については、証券監視委が本格的に調査を進める公算が大きい。第三者委員会報告書そのものが直接の証拠になるわけではないが、「報告書に『依拠』して証券監視委が調査を行うことはある」(佐々木氏)という。つまり、第三者委員会報告書の見立に沿って、証券監視委が証拠を固める調査手法をとることはあり得るとみられる。

 最大の焦点は、永守氏の不正会計への関与の程度だ。金融商品取引法違反の刑事告発に踏み込むかどうかが問われる。報告書で指摘された永守氏の関与のポイントは、大きく分けて二つある。

 一つは、永守氏の指示の下、グループ内の不正会計を調査し、時に「秘密裏」に処理していた特命監査の存在だ。

 もう一つが、過去の不正会計などが滞留して生じた「負の遺産」の処理である。第三者委員会の平尾覚委員長は、負の遺産は「(資産性に疑義がある資産であり、)全てが不正会計ではない」とするものの、報告書では、その処理や隠ぺいに永守氏が関与した形跡がいくつも記されている。

 249ページにわたる第三者委員会報告書と関係者の証言を突き合わせると、不正会計の輪郭が浮かび上がる。果たして永守氏は不正会計にどこまで関与していたのか。次ページでは、その核心に踏み込む。