井口慎太郎
#7
川崎重工業の造船部門が好調だ。造船を含むセグメントの2026年3月期の事業利益率は13%を見込み、航空機やバイク、ロボットをしのぐ「稼ぎ頭」となっている。高収益の秘訣は高付加価値船を日本で、汎用船を中国で建造する2面作戦にあった。本稿では知られざる川崎重工の中国造船事業の実態を明らかにする。

#6
造船業がかつてないほどに注目される中、監督官庁である国土交通省はいかにして再生をリードするのか。本稿では、30年以上にわたって行政サイドから海事産業に関わってきた同省海事局次長の河野順氏を直撃した。造船のキーパーソンは、日本の造船業の軸となる今治造船とジャパン マリンユナイテッドの統合を巡る“大胆な未来予想図”を明かした。政府会合では結論が出なかったLNG(液化天然ガス)運搬船の再建造計画についても語ってもらった。

#5
日本の造船メーカーは中国、韓国に比べて規模が小さい。最大手の今治造船と2番手のジャパン マリンユナイテッドを合計しても中韓勢の大手メーカーには及ばない。そこで、日系メーカー各社は設計や受注における連携で生き残りを模索している。本稿では、激変期にある造船業界の勢力図を示すとともに、技術力で日本の造船をリードしてきた三菱重工業とその子会社、三菱造船の足元の戦略に迫る。

#4
造船メーカーの経営者は2035年に船舶建造量の倍増を目指す政府計画をどう受け止めているのか。瀬戸内に拠点を構える尾道造船の中部隆社長を直撃すると、ある理由から目標達成が物理的に困難であることが判明した。本稿では、中部社長が考える次世代船のエネルギー源や、造船メーカー他社と船主会社を合弁した狙いについて率直に語ってもらった。

#3
鋼材は船の建造コストの3割を占めるとされる。日本の造船業にとって、中国勢、韓国勢に比べて自国の鋼材が高いことは大きなハンディキャップだった。ただし、鉄鋼メーカー側も中国産鋼材の輸出拡大による市況低迷と国内需要の縮小に追い詰められており、衰退していた造船業を重視する余裕はなかった。船舶建造倍増を掲げる国策をきっかけに、これまでトップが対話してこなかった両業界がついに交渉のテーブルに着いた――。本稿では、両業界の対話で浮上した協力案を独自取材で明らかにする。

#2
造船業の再生が日本で急に盛り上がったのは、2025年の日米の政府間交渉がきっかけだった。米国が自国の造船業が衰退していることに危機感を抱き、造船における協力を求めてきたのだ。しかし、日本の造船業は、技術力はあるものの、建造能力や人材などにおいて、米国を助けられるほどの余裕はなく、それらの能力を急速に高めることも容易ではないのが実態だった。本稿では、日本の造船メーカーの世界シェアが中国と韓国に抜かれ、引き離された理由をひもとくとともに、米国が日本の造船業に期待することと、それへの日本側の対応にどんなズレがあるのかを明らかにする。

#1
造船復活に向けた政府支援が動きだそうとしている。中韓勢の後塵を拝して久しい「忘れられていた産業」だった造船業界。復活のラストチャンスに向けて奮起しようとしているが、実は、政府との間には温度差がある。最たる例が、2019年を最後に国内での建造が途絶えているLNG運搬船の生産再開だ。本稿では、LNG運搬船の建造再開に立ちはだかる「二つの壁」を明らかにするとともに、LNG運搬船にこだわる弊害を指摘する。

半導体製造装置で重要なポジションを占めている日本企業は東京エレクトロンだけではない。排ガス測定機器が主力事業だった堀場製作所は、半導体の製造工程で欠かせない「ある機器」で世界シェア6割を握っている。AI(人工知能)半導体の需要が爆増する中、受注環境について創業家3代目の堀場弾取締役に聞いた。

プラント制御機器大手の横河電機が、キャリア採用の人数を4倍にするなど採用を強化している。2030年までに売上高を2倍の1兆円まで伸ばす強気な中期経営計画を掲げているためだ。海外売上高比率が7割を超えるグローバル企業だが、社員の多くは東京勤務で転勤が少ないのが同社の特徴だ。本稿では、一般にはあまり知られていないニッチトップ企業の働き方を明らかにする。

#33
警察が採用難に直面しつつある。実は、近い将来に“大量退職時代”が控えていて、今「採用力」を強化しないと深刻な人手不足に陥る懸念があるのだ。こうした危機を前に、警察官の待遇改善が進んでいる。本稿では、全都道府県の警察を管理する警察庁で採用担当部門のトップを務める森元良幸長官官房長に、さらなる打ち手と警察官に適性のある人物像を尋ねた。

#32
警察官のなり手の減少が止まらない。直近15年で採用試験の受験者数は3分の1にまで減った。減少の要因には、民間企業の待遇が改善して相対的に公務員の人気が落ちていることと、「厳しそう」という漠然としたイメージがある。ただ実は、足元では、警察官の待遇は改善していて、東京都を管轄する警視庁の初任給は32万円まで引き上げられている。本稿では、全国の警察を管理する警察庁への取材で、地方も含めた警察官の年収と働き方の実態に迫った。

日本、イギリス、イタリアの3カ国で共同開発している次期戦闘機の最重要機器とされる「ミッションコンピューター」を、イタリアの防衛装備品メーカーのレオナルドが担う方向で調整が進んでいることが、ダイヤモンド編集部の取材で判明した。三菱電機も同機器の開発で主導的な立ち位置を目指していたが、及ばなかったもようだ。日本の需要に沿った形で次期戦闘機を運用できるかどうかが今後の焦点となる。

#28
トヨタ自動車などのトヨタ自動車グループによる豊田自動織機への株式公開買い付け(TOB)が佳境を迎えている。トヨタ自動車グループは1月中旬にTOB価格を引き上げたが、アクティビスト(物言う株主)の米エリオット・インベストメント・マネジメントなどがTOB価格は不十分として徹底抗戦の姿勢を見せている。ところが、エリオットをはじめとする複数のファンドが、昨年のTOB観測報道後の株価急騰時に豊田自動織機株を大量に取得していたことがダイヤモンド編集部の取材で判明した。「さや抜き」狙いとみられる主要ファンドの顔触れに加え、その“巧妙な手口”を明らかにする。

豊田自動織機と三菱ロジスネクストというフォークリフト大手2社への株式公開買い付け(TOB)が、それぞれ同時に実施されている。トヨタ自動車と三菱重工業という“盟主”の意向が強く働いているとみられる二つのTOBは、少数株主からどう見られているのか。TOBのプロセスの妥当性や透明性から検証する。

2026年1月から住友重機械工業の社長に就任する渡部敏朗・最高財務責任者(CFO)は、同社のトップとしては珍しく財務畑を歩んできた。異例の抜てきの背景には、業績が伸び悩み、株式市場からの評価も上がらない現状を打開しようとする意図がある。渡部氏に「痛みを伴うこともやむなし」とする構造改革の決意を聞いた。

#9
半導体・電子部品業界は、人工知能(AI)普及の追い風を受けているが、全体が右肩上がりというわけではない。電気自動車(EV)シフトの鈍化や部品のコモディティー化、激しい国際競争でかつての有力銘柄も逆風にさらされているのだ。今回は、半導体・電子部品業界の倒産危険度を検証。“危険水域”にランクインした18社の顔触れを明らかにする。

産業用ロボットや工作機械に用いるサーボモーターの世界大手、安川電機は自動車産業や半導体産業の設備投資の最新情勢を知る立場にある。米国の関税政策は2026年の設備投資にどんな影響をもたらすのか。さらに、同社は「フィジカルAI」分野で米エヌビディアと富士通と協業する。人型ロボット開発ブームが再燃する中で、安川電機の本気度は?小川昌寛社長に展望を聞いた。

にわかにバズワードとなった「フィジカルAI」。生成AIの普及が目覚ましかっただけに期待感は高まっている。日系の製造業や通信事業者も巨大市場へ打って出ようと協業関係を盛んに結んでいる。フィジカルAIに商機を見出している各社の動向からは、手指の動きがカギになることがうかがえる。巨額投資を続ける米中勢に対抗する、日系企業の勝ち筋を探る。

日本、イギリス、イタリアの3カ国で共同開発している次期戦闘機の最重要機器とされる「ミッションコンピューター」を、イタリアの防衛装備品メーカーのレオナルドが担う方向で調整が進んでいることが、ダイヤモンド編集部の取材で判明した。三菱電機も同機器の開発で主導的な立ち位置を目指していたが、及ばなかったもようだ。日本の需要に沿った形で次期戦闘機を運用できるかどうかが今後の焦点となる。

日立建機は2027年4月に社名を「ランドクロス」に変更する。既に日立製作所の持ち分法適用会社ではなくなっている。米国の関税政策の影響が本格化する中、26年は、いかに中国の建機メーカーなどとの競争に勝ち抜くのか。先崎正文社長に、日立ブランドから“独り立ち”した後の展望を聞いた。
