とくに気になる言動が強く見られる子ほど、運動の効果による変化は大きい可能性があることが、バーモント大学のHoza氏の研究で報告されています。

 私自身も発達障害・グレーゾーンの子どもたちと関わるなかで、その効果を強く実感しています。

 身体と心は、どちらが先でも互いにリンクしています。だからこそ、運動による身体づくりは心をより元気にし、気になる言動の改善にもつながるのです。

 運動が子どもの可能性をより引き出してくれます。今まで「難しそう」に見えていたことが、むしろ得意になることだってあります。

 運動は、身体と心を育み、社会生活をよりスムーズにしてくれる土台となってくれるのです。

「できない」のではない
脳は「まだ眠っているだけ」

 運動が心の発育に良いことはわかっていても、「脳の働きまでほんとに影響するの?」と思う方もいると思います。

 発達障害やグレーゾーンの子どもたちは、脳の一部分をとても活発に働かせている一方で、ほかの部分はあまり働けていないことがあります。

 脳には「考える」「感情を感じる」「身体の動きをつくる」など、それぞれの役割を持つ領域(部分)があります。

 脳を大枠で捉えると、次のような役割をそれぞれが担っています。

●大脳皮質……物事を考える部分。自分の思った通りに身体や言葉を使ったり、計画を立てたり、理性的に行動を判断したりする思考力に関わる
●大脳辺縁系……本能的な欲求や感情を感じる部分。喜び、悲しみ、怒りなどの感情、食欲や性欲に関わる
●小脳……運動調整をおこなう部分。身体のバランスや細かい手足の運動がスムーズにできるよう調整してくれる
●脳幹……生命維持活動を支える部分。呼吸や心拍、自律神経などに関わりが深い

 さらに、「大脳」だけを見ても、位置(ポジション)によって専門とする役割が異なります(図参照)。

図・大脳の各ポジションでの役割同書より転載 拡大画像表示