本来はこれらが状況に応じて連携して働くことで、理性・感情・身体の動きのバランスを保ちます。そのおかげで、作業をしながら会話をしたり、思い通りに身体を動かしてスポーツを楽しむことができるのです。これが、学びや成長の基盤となります。
つまり、脳の働き方に偏りがあったり、連携がうまくとれなかったりすると、理性・感情・身体の動きのバランスが崩れてしまうのです。その結果、言動が極端に強く出やすくなり、社会生活にも影響してしまうことがあります。
ただ、この状態をすぐに「脳の特性」とする前に、“今は得意な部分がよく働いていて、ほかの部分がまだ眠っているだけ”と考えることもできます。この「眠っている部分」を目覚めさせ、連携を促す手段の1つが、運動なのです。
身体を動かすことで身につく
「脳のチームワーク力」とは何か
脳は、いつも全部が同時に働くわけではありません。状況に応じて、働かせる場所や連携を切り替えながら、全体の動きをスムーズにしています。
これはスポーツチームと似ています。状況によって、ポジションごとの役割が活かされ、協力できると良いプレーが続きますよね。個人の得意なプレーもさらに活き、苦手だったこともチームで補い合うことができます。個々の働きや連携が、そのチームならではのカラーとなり、1人ひとりの脳の「個性」となります。
つまり、眠っていた部分が目覚めて連携が整うと、その子らしい個性がより発揮され、状況に合わせた行動もしやすくなっていくのです。この「脳のチームワーク力」を高めてくれるのが、運動です。
身体を動かすために、脳の複数の部分が連携して働きます。
『子どもの気になる言動が改善する からだの使い方』(池上 悠、ディスカヴァー・トゥエンティワン)
たとえば、ボール運動をするとき。ボールを投げたりつかんだりするための手足の動きをつかさどる部分だけでなく、ボールとの距離や空間把握のための目や耳からの情報を整理する部分、細かな動きやスピードをコントロールする部分も協力します。相手へ投げるタイミング・周囲への注意力に関わる脳の部分も総動員されます。これが眠っていた脳の部分に刺激となり、連携を促す練習になるのです。
そうして、まわりの様子への判断力(空間把握力)や注意力が高まり、落ち着いた行動がしやすくなることへもつながります。
「眠っている部分」が目覚め、「脳のチームワーク力」が高まると、強く出ていた言動が穏やかになり、目立たなくなっていくことがあります。発達障害やグレーゾーンの子たちにもそれが期待できるのです。







