配属初日から始まった、すれ違い
3日間の社内研修を終え、配属初日の朝礼前。BはAの席を訪れ、「A課長、おはようございます。今日からよろしくお願いします」と頭を下げて挨拶した。しかしA課長は顔を上げることなく、黙々と目の前の書類整理を続けた。
声をかけてもらえなかったBは一瞬不安になり、「何か失礼なことを言っただろうか……」と胸がざわついたが、「課長はきっと忙しくて手が離せなかったに違いない」と自分に言い聞かせ、その場を離れた。
しかし、その後もAから声をかけられることはなかったB。他のメンバーもそれぞれの業務に追われ、誰一人として彼を気にかける様子はない。結局Bは、配属初日にもかかわらず何の指示も与えられないまま、一日中自席でただ時間を過ごすことになった。
翌日の朝礼後、BはAに「今日はどんな仕事をすれば良いでしょうか?」と尋ねた。するとAは「はあーっ……」とため息をつき、自席に戻ると1冊の冊子を取り出し、Bの机に放った。
「君に受け持ってもらう仕事の内容とやり方は、昨日私が作ったこのマニュアルに書いてある通りだ」
Bはその冊子を受け取り、すぐに内容を確認した。そこには業務内容と手順が丁寧にまとめられており、仕事に慣れていない者でも容易に理解できた。
「A課長はぶっきらぼうだけど、仕事はきちんとしている人なんだ。よかった……」
Bは少し安心した。
ため息、無言の視線……Bは次第に追い詰められていく
しかし、業務でどうしても分からない点をAに質問すると、そのたびに大きなため息をつかれ、ミスを報告すれば無言のまま鋭い視線を向けられた。朝や帰りの挨拶をしても返事はなく、Bは次第に声をかけることさえためらうようになっていった。
2月上旬の昼休み。弁当を食べ終えたBは、隣の席でコーヒーを飲んでいた先輩に思わず不満を漏らした。
「A課長は私のことが嫌いなんでしょうか。挨拶しても無言だし、業務の質問をするとすぐムスッとされるんです」
先輩は困ったように眉を寄せて答えた。







