つまり、自然界には回し車などなく、走ると新しい場所に移動できて、何かを見つけられるかもしれない。そうした本能的行動が、回し車という不自然な場でも出現してしまうのだ、と。
しかし、探索仮説はマウスの研究結果をうまく説明できない。環状トンネルのほうが回し車よりも探索しがいがありそうじゃないか。けれども、実際には回し車のほうでたくさん走る。なぜ回し車で走行量が多いのか?
シャーウィン博士は探索仮説を否定する実験を行っている。博士は図1-14のような装置を使って、ラットにどのドアを開けるか選択させた。
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ダイエット目的で
走り続ける可能性
3つのドアの向こうには、それぞれ、回し車、複雑トンネル、環状トンネルがある。それぞれのドアを開けるためには、その場でスイッチを押さなくてはならない。スイッチを1回押すだけでドアが開く場合は、回し車を選ぶことが最も多く、次いで複雑トンネルで、環状トンネルはほとんど選ばれなかった。ドアを開けるためにスイッチを押す回数を増やすと、回し車を選ぶ割合がさらに増えた。また、スイッチを押さなくてはならない回数に限らず、回し車はいったん選ばれたら長時間走り続けた。
探索目的であれば、何かありそうな複雑トンネルを最も好むはずだ。こうした事実から、探索仮説はネズミが回し車で走る主たる原因ではないといえるだろう。
回し車で走ることでエネルギーバランスを保つのだ、という見解もある。
食べ過ぎて肥満になるのを防ぐため、ダイエットランニングに励むというわけだ。たしかに、回し車で走ると肥満の予防になる。







